日本帰国時に、アメリカに銀行口座などの金融資産を残すべきか否かについて、考えてみたいと思います。

まず帰国してしまうと、米国にある金融口座を使って、なにかしたいというときに、直接米国の金融機関に行って、なにかするということができません。米国在住中は、窓口に行ったり、担当者に直接会ったりできますよね。しかし、帰国してしまうとそれができないわけです。その場合は、いわゆる電子的な操作をして、動かさないといけませn。読者の皆様がご存知のとおり、インターネットでの技術というのは、毎日著しく進歩していますので、帰国して、リタイアしてから、だんだんこの手の技術を習得し続けることは苦痛ですね。一番に考えないといけないのは、あなたご自身が、インターネットでの取引や、指示に対して、年齢が高くなりつつ苦痛を感じないで、継続できるかです。いかがでしょうか?

次に考えないといけないのは、昨今の制度の傾向です。最近の米国事情については、何回もこの場を借りて書いております。米国政府は、脱税や、テロにも繋がりかねない不正な資金移動に非常に神経質になっています。それに呼応して、米国の金融機関が非常に海外からの取引に極度に注意を払っています。Fidelity, Charles Schwab, T. Rowe Priceなどの いくつかの米国の金融機関では、海外からの取引、口座の残高の移動などは、できないという規制を打ち出すところが出ています。また、ある米国の銀行は、海外からのワイアートランスファーのリクエスト(例えば、米国の口座にあるお金を、日本に送金するなど)を拒否するところが出ています。端的にいいますと、海外からの米国にある金融口座の取引、移動は、どんどん難しくなっているわけです。したがいまして、今後帰国を予定されている方は、このあたりのトレンドをしっかり見極める必要があるわけです。できると思って残していた金融機関が、フリーズされたような状態になっても大変困ります。

日本の政府も米国政府と同じように、海外資産に神経質になっています。日本から見て海外に5,000万円を超える財産をお持ちの方は、平成25年分の確定申告から「国外財産調書」と「国外調書の合計表」を確定申告書に付帯して提出する必要があります。さらに最近の日経新聞では、「富裕層の税チェックを強化」という記事で、G20間で、金融機関の情報を共有する制度作りを開始したり、富裕層の税務調査の専門チームを整備しているとのことです。日本でも米国にある資産に対する目がより光ってくると言えます。こちらも考えないといけません。

米国政府からもらえるソーシャルセキュリティに関しては、海外でも受給できる仕組みができております。これは以前にご説明しました。少なくとも米国のソーシャルセキュリティに関しては、将来破産するのではないかという危惧以外には、受け取る手続きが難しくなる、あるいは海外ではできなくなるということはないように、見受けられます。この点は、多少は安心ですね。

最後に、アメリカで貯められた401(k)、IRA、企業年金などについてです。こちらはそれぞれのルールがあり、一概には説明できない大変難しい部分です。なぜならば、これらの年金というものは、受給者が、老年になり、将来課税所得が低くなってから、ディストリビューションを受け、米国政府が課税するというのが基本的な前提になっている場合が多いからです。読者の皆様は、永住権を放棄されて、帰国される方がほとんどだと思いますので、ここは、非常に複雑な問題になります。なぜかと言いますと、永住権を放棄するというのは、米国での課税権から逃れることですので、本来の老年になってから必ず課税できるという米国政府の年金の大前提とは違うからです。できれば、これらの金融資産は、一般的には、永住権を放棄する以前に解約して、現金に変えるほうが、望ましいと言えると思います。再度、申しますが、この部分のルールは非常に複雑で、非常に誤解されている分野でもあります。個別のケースは、信頼できる専門家に必ずご質問してください。もちろん、弊社でもご質問を承ります。

さあ読者の皆様の方針は決まりましたでしょうか? しっかり考えられて、皆様が持たれている米国での金融資産に関するう処分案のプランニングをされてから帰国してください。

この記事は、読者の理解を深めるための目的で書かれており、規則の完全に正確な説明ではありません。問題があると感じられるかたは、必ず専門家と相談されて取られてください。また、この記事に関するご質問は、[email protected] までご連絡ください。弊社(CDH会計事務所)のウェッブサイトであるwww.cdhcpa.com もご参照ください。電話でご質問があるかたは、(630)253-0215までお気軽にお電話ください。