米国では、2019年の1月1日から、売上計上の会計基準が変更になります。ASC第 606号と覚えてください。この変更は十年に一度ともいわれるくらい大規模の変更で、すべての在米日系企業が注意を払わなくてはいけません。

この基準の背景は、国際会計基準(IFRS)と米国の会計基準(GAAP)で、ほぼ統一された売上計上基準にすることで、世界レベルで同じ尺度で企業の売上を判定できるからです。ちなみに日本でもこちらに合わせようと企業会計基準委員会(ASBJ)は平成29720日、「収益認識に関する会計基準(案)」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)を公表しました。日本も同じ動きをしているわけです。

この記事で計上基準のすべてのポイントをカバーはできないので、今回は、以下の二点に絞ってご説明します。

影響が大きいと考えられる業態:

以下の状態が存在する場合に影響が顕著であると言われています。

  • 契約の期間が長期にわたったり、変更がたびたびある、あるいは複雑な契約である
  • メンテナンスと販売をセットにするなど複数の財又はサービスをセットで販売している
  • リベート、返品、値引きなどがある
  • Percentage of Completion(進行基準)で現在売り上げ計上している

したがって建設したり、個別で受注をしたり、大型機械の据え付けをしたり、医薬品製造、自動車製造などの業種が大きな影響を受けそうです。要注意です。

ASC 606と会計ソフト

以下の二点がポイントになると思われます。

  • 契約ごとでの売り上げ計上への対応が可能か? -今までの通り一辺倒の売上計上ではなく、顧客ごと(契約ごと)の売上計上が必要になります。したがって御社の会計ソフトがこの多様性に対応できる性能がなければなりません。簡単なソフトでは対応できません。
  • 大幅に増える注記への対応ができるのか? -新会計基準では、大幅に詳しい注記が必要になります。顧客ごとの売上の性質、金額、期間、不確実性、キャシュフローなどの情報が求められます。いままでのように手で拾って、エクセルで表を作成するのは非効率です。会計ソフトにこのような機能を求めることで人手が減ります。

結論

新しい売上計上の会計基準は、御社のビジネス全体に大きな影響を及ぼすものと理解してください。この記事では、会計ソフトとの関連について述べただけですが、御社のビジネスフロー、契約形態などにもその影響は広範囲にわたります。また残された準備期間は一年しかありません。

すぐに対応策を考え始めて、アクションを取り始めることをお勧めします。