non-resident owning us real estate

クロスボーダーで不動産に投資をされる方のために、説明をしたいと思います。アメリカの非居住者のかたがアメリカに不動産投資をされる場合です。
1、 購入まで
遠距離の不動産を購入されるときは、大きなリスクが付きまとうのは、不動産の素人の私でもわかります。デューデリジェンスと一般的に呼ばれる調査をしないといけません。隠されている不具合があり、予想外の修理をする必要がないか、所有権はしっかり販売者が保持しているのか、不動産税などで未払いがないのかなどを確認しないといけません。もちろん専門の弁護士の力を借りて、契約書のレビューも行います。私自身の経験ですが、何度も相手側と行ったり来たりする契約書のレビューは神経が大変疲れる作業です。修理も米国での修理の相場がわからないだけ大変不安になります。

日本に居住して、このやり取りのニュアンスを理解するのは、私自身の経験から申しますと至難の業です。

きっとしっかりとした不動産のプロや、専門の弁護士にお願いして助けてもらうのが、クロスボーダーでの投資には必要不可欠だと感じます。ただ信頼して、お願いするのは良いのですが、やはり重要ポイントは人任せにしないで、自分でしっかり理解をすることだと思います。

2、 購入時
アメリカの非居住者の方は通常米国で銀行口座を開設することが大変難しいものです。これは日本の銀行で、日本の住民票がない方が口座を開設するのが不可能(あるいは不可能に近い)ことと同じ原理です。

現在、アメリカの非居住者でもアメリカに口座を開設できるサービスがあると聞いていますが、投資をされる方は、このサービスが未来永劫に続かないというリスクも考えられてください。そしてWEBを通して、口座の動きがリアルタイムで分かるようにしておくのも大変重要だと思います。お金の動きの透明性が重要です。

次に不動産を所有する際の所有権のかたちの選択があります。Joint Tenancyや、Tenancy in Commonなどの複数の選択がありますので、こちらもご自身でどのような所有なのかをしっかり理解されて所有するようにしましょう。また州によってはCommunity Propertyと呼ばれる特殊な所有形態を認める州もございます。不動産の弁護士の方や、不動産の斡旋業者の方に聞いて、完全に理解するようにしましょう。特に相続などが発生した時点で、大きなポイントになりますので、理解が難しい内容なのですが、所有者はしっかり把握をしていないといけません。

3、 購入後
購入後のポイントは大きく4点になります。

(1) お金の管理
毎月の不動産管理の帳簿ができるだけ透明性がないとどんどん心配になります。上記の銀行口座でできるだけクリアにお金の動きが鮮明にわかるような仕組みにするべきです。

また誰に管理権を渡すのか、不明瞭な支払いがあった場合にどのような手段でその支払いを調査するのかなどは、距離が遠い分だけ大変な作業になります。

私にもシカゴからハワイの物件を賃貸してもらった経験があります。日本までと比べるとアメリカからは半分くらいの距離ですが、大きな修理が必要になったときには疑心猜疑の念で悩まされたものでした。

私の自分の目で見ないと安心しないという性格もあったかもしれません。ここはやはり投資される方のメンタリティにもよるのでしょう。

(2) 税務申告
所得が発生する場合は必ず税務申告があると理解してください。米国では、個人、LLC、株式会社でもそれぞれの書式でしないといけません。LLCは、クロスボーダー生活者にとっては大変理解が難しい形態です。こちらもかなり勉強していただかないといけません。

アメリカに会社を設立して、日本に親会社などがある場合は、親会社に関して一定の開示が必要ですし、また日本に子会社などがある場合は、累積利益に税金が発生する場合があります。

最後に日本の会社がアメリカの不動産を所有するケースもありますが、リスクの面からあまりお勧めできません。

この分野は会計士の専門分野です。しっかりと事前調査をされて、税務申告にの作業に備えましょう。

(3) 源泉税
アメリカ源泉所得をIRSに税務申告で収支の詳細を出す前に源泉されてしまう仕組みが源泉税です。源泉税は、租税条約に大きく影響を受け、日米独自の税率で源泉されてしまいます。英語ではWithholdingと言います。LLCの場合も外国に居住している人がメンバーだと源泉の対象になります。

具体例を出しますと、もし$10000の送金を日本にしようとした場合に、30%の源泉税率ですと、$7000しか送ることができない仕組みです。$3,000はIRSに送られます。

この問題は不動産物件のキャッシュフローに関する問題ですので大変重要です。こちらも会計士と良くご相談されて計画、実行されるようにしてください。日本での税務申告にも影響を与えます。

(4) プロベート対策
この分野は特殊な弁護士の専門分野です。米国にはプロベート(遺産検認作業)という裁判所の管理下で行うもろもろの手続きがあります。こちらが時間がかかり、費用もかかるので、多くの方がこのプロベートを避けるような手続きをします。

複数の方法がありますので、しっかりとプロベート専門の弁護士に確認して、理解していただかないといけません。海外居住者の場合は、これがさらに複雑になり、コストがさらにかかる要因となります。

多くの不動産投資家がお亡くなりになり、アメリカでプロベートのプロセスにより、多くのご家族が不動産が現金化できずに、また資金が日本に戻されないで大変な思いをされています。これらの方はプロベート対策をされなかった方たちです。

ここも大変重要なポイントですので、不動産購入の際にはしっかり理解されて、対策を練っていただきたいと思います。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
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