リースはすべて経費で処理できず固定資産として計上すべきリースはご存知でしょうか?また、どのようなリース契約内容の場合に固定資産として記帳することになるのでしょうか?今回は経費として記帳できるリースと固定資産として記帳しなければならないリースにして説明したいと思います。

リース種類

リースには二つのタイプに分かれています。

キャピタル·リース:下記4つの条件のうち、一つでも該当すると固定資産として計上することが求められます。

  • リース物件の所有権がリース期間終了時に借手に移転する条項がある
  • 割安購入選択権がついている
  • リース期間がリース物件の耐用年数の75%以上である
  • リース料総額の現在価値が、リース物件購入金額の90%以上である

ではなぜ、上記に該当する場合は固定資産として計上しなければならないのでしょうか?会計上では「経済的便益」が重要視されます。つまりたとえリースであっても固定資産を所有しているのと同様に会社の収益をもたらすと考えられる場合、費用ではなく資産として貸借対照表に記帳されることとなります。上記に該当する場合、固定資産を持っているのと実態は変わらないと考えられるために通常の固定資産購入と同様に扱う必要があります。また、資産として計上されるのと同時にリース負債として計上されることとなります。

オペレーティング·リース:上記に該当しないリースはすべてオペレーティング·リースとなり、リース費用はすべて費用計上されることになります。

キャピタル·リースの方が会計処理が煩雑になります。では具体例を見てみましょう。

キャピタル·リースの具体例

フォークリフトのリース契約を行い、契約は5年で毎月のリース料は600ドルでリース契約終了時には1ドルでフォークリフトを購入する権利がついているものとします。

上記の場合、契約終了時に1ドルという格安の金額でフォークリフトを購入する権利がありますのでキャピタル·リースの4つの条件のうち、「2)割安購入選択権がついている」に該当するため、キャピタル·リースとなります。この2)の条件は割安である必要があり、たとえ購入選択権がついていたとしても割安でなければ該当しません。会計処理としては下記になります。

毎月支払リース料 $600

利率  年次3%

支払回数 60回

現在価値 $33,391.41(上記の情報に基づき計算した場合。例のために簡素化しています)

リース開始時の仕訳

フォークリフト(固定資産) $33,391.41 /  リース負債 $33,391.41

次にリース負債のうち、支払利息と負債の返済金額を決める必要があります。リース負債の返済表を作成し、返済表に基づいてリース負債と支払利息を計算した場合、下記のようになります。

1か月後リース支払を行う

リース負債 $516.52

支払利息      $83.48                                         /   現金 $600

1か月後減価償却を行う(フォークリフトの耐用年数を5年とした場合、固定資産に計上した金額を60か月で割って算出)

減価償却費 $556.52                                 /   減価償却累計額 $556.52

では、もしこれがオペレーティング·リースであった場合はどうなるでしょうか?

オペレーティング·リースの仕訳

毎月のリース支払時

支払リース料  $600           /   現金 $600

オペレーティング·リースの仕訳は上記一つのみとなります。

上記をご覧になっていただけますように、キャピタル·リースの方が会計処理が煩雑なのがお分かりになるかと思います。契約時にキャピタルリースに該当するのか、契約書の内容を見て判断する必要があります。

CDH会計事務所ではリース契約がキャピタル·リースに該当するのか、また該当した場合の計算、またリース負債と返済表作成サービスを行っております。リース会計に関しましてご質問のございます方はお気軽にCDH会計事務所の中尾([email protected])までお問い合わせください。