不正とは?

ニュースで不正によって粉飾決算が発覚した、従業員が不正を行ったため解雇された、等聞かれたことがあるかと思います。では具体的に財務諸表に影響を与える「不正」とはどのようなものなのか説明させていただきます。

二つのタイプの不正

会計上の不正には二つのタイプがあるとされています。

 

資産の盗難

こちらは文字通り資産が盗まれる不正です。盗まれやすい資産としては現金、在庫、固定資産が挙げられます。

現金:例えば一人の経理担当者が、小切手管理をしており、小切手にサインができ、かつ出金も記帳することができることになっている場合、この担当者が自分宛に小切手を発行することが可能です。また小口現金を持っている場合、従業員が現金がどこにあるか把握しており、特に鍵がかかった引き出しにて保管されていなければ現金自体が盗まれる可能性もあります。その他には、私的な旅行にかかった旅費を会社に請求して返金されることもありえます。

在庫:扱っている商品によっては、在庫を盗難し、個人で販売できることもあるかと思います。在庫管理が正しくできていなかったり倉庫や工場に監視カメラが設置されていないと従業員が在庫を盗んで転売することが容易となります。

固定資産:社用車やコンピューターが盗まれることがあります。

 

財務諸表の書き換え

会社の状況をよく見せるために意図的に財務諸表の数字を書き換えることが考えられます。例えば売上を増やすために架空の売上を計上する、また利益を増やしたいために架空の在庫を計上したり棚卸とは異なる調整を入れることによって原価の金額を減らす、等が該当します。これが粉飾決算と呼ばれるものです。

では上記の不正に対応するための統制(コントロール)はどのようなものとなるのでしょうか?統制には二つの種類があります。

 

予防的コントロール(Preventive Control

不正が起こらないようにするための管理策です。現金の例では、一人の経理担当者が小切手管理、サイン、記帳の全てをすることをできないようにする(職務分掌)、小口現金の入っている引き出しは鍵をかけ担当者以外入手不可能にしておく、旅費についてはあらかじめどこに出張に行くか上司から許可をもらうことを精算時の必須条件とする、等になります。これらの統制を行うことにより不正の発生を防ぐことができます。

 

発見的コントロール(Detective Control

必ずしも予防しきれない(予防することが難しい)不正を、その事態が発生した(または発生しそうな)早い段階で検知し対応するための管理策です。つまり予防的統制ができない場合、発見的コントロールを行うことにより早めに不正を検知することができるのです。例えば、工場や倉庫に監視カメラを設置すれば在庫が盗まれたことが分かった場合、監視カメラをチェックして何が起こっていたかを確認し、迅速に対処することができます。また固定資産も定期的に棚卸を行っていれば帳簿に載っている固定資産が実在しているかどうか確認でき、また盗難が発生していた場合も早めに検知することができます。

 

予防的及び発見的コントロールが実在しているか、そして実際にコントロールが機能しているか、一度検討されてみてはいかがでしょうか?ご質問等ございましたらCDH会計事務所の中尾 [email protected] までお問い合わせください。