固定資産の減損って聞いたことがあるけど、どういう意味なのかよくわからない。財務諸表にはどういうインパクトを与えるのか、またどういうことがあれば減損として損失を計上する必要があるのだろうと思われたことはございませんでしょうか?今回は固定資産の減損について述べたいと思います。

減損の兆候

減損とは実際には固定資産が帳簿に記帳されている金額以下の価値しかないために損失を計上するというものです。固定資産は使うことで会社に収益をもたらすことが前提です。しかし、将来固定資産が収益をもたらさないという事象が起こった場合、損失をの兆候があるとみなされます。

固定資産の減損に関してまず重要なのは減損の兆候です。会計ルールでは下記のような兆候があれば固定資産が減損の兆候があると考えられます。

  • 固定資産の市場価格の下落。
  • 資産が使用方法について、資産の回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは生ずる見込みであること。
  • 資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが継続して赤字となっていること、あるいは、継続して赤字となる見込みであること。
  • 資産が使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したかまたは悪化する見込みであること。
  • 固定資産を取得及するにあたって発生する費用より著しく増えると予想される見込みであること。
  • 固定資産の耐用年数が切れる前に固定資産を処分及び売却される見込みがあること。

上記の兆候のうち、一つでも当てはまれば減損の兆候があると判断されます。上記のうち、よく見られるのは営業活動から生じるキャッシュフローがマイナスである、会社が継続して赤字である場合がある場合ですので、一度御社のキャッシュフロー計算書をご覧になってみてはいかがでしょうか?

減損しているかどうかの判定

ただ、兆候があっただけで損失を計上する必要はありません。兆候があった場合、もう一つの作業を行うことにより実際に減損しているかどうかを判断します。もう一つの作業とは将来のキャッシュフローを見積もることです。会社では今後の予算を組まれるかと思いますが、その予算に基づいて将来どれくらいキャッシュフローがもたらされるかを予測します。これは固定資産を使用することによってどれだけ会社に便益をもたらすかを見るためであり、もし将来もたらされる現金流入が簿価を下回っている場合、減損していると考えられます。例えば固定資産の簿価が$1,000,000で将来もたらされるであろうキャッシュフローが$500,000であれば減損しているということになります。なお、キャッシュフローを見積もる際の期間は主要な資産の残存使用年数になります。

減損計上

上記の結果、減損していると判断された場合、次に減損を計上することとなります。ここで少しややこしいのが減損は将来にもたらされるであろうキャッシュフローと簿価との差額を記帳するのではなく、時価と簿価の差額が損失として計上されることとなります。よって時価を算出する必要があるのですが、今持っている固定資産の時価がわかるのがベストですが、実際は時価を入手するのは難しいかと思います。この場合、時価は上記で算出された将来もたらされるキャッシュフローを現在価値に割引いて時価を算出します。現在の価値に割り引くとは、ある将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れたとしたらどの程度の価値を持つかを表すものです。将来のキャッシュフローは現在の価値に直すと価値が減少しますので将来のキャッシュフローを割引率を用いて現在価値に割り引く計算をし、この計算結果が時価とされます。また、時価と簿価の際の損失計上の仕訳は―固定資産減損/減価償却累計額-となります。

減損の兆候があるかどうかを判断するのは、また時価を計算するために将来のキャッシュフローを現在価値にする計算は煩雑です。CDH会計事務所で減損に関する懸念事項や減損の計算を行うことができます。