―あるアメリカ企業の経営会議に出席してー

 

それは売上高300億の消費者が使う商品の製造業の会社の経営会議だった。朝8時から始まる会議は、前月の会社のパーフォーマンスのレビューに終始する。毎月この会議は定期的に行われる。継続は力なりと感じた。

使う資料はグラフ化されている。いくつかの色を使っているために良い数字が出ている部門と悪い数字が出ている部門が明確にわかる。出席者は約15名。工場がいくつかある会社なので何名かの工場長、会社の経理の責任者、営業担当者、製造のGM、などを含めて社長がテーブルのヘッドに座る。雰囲気としては、大体の座る場所は決まっているようだ。

この会議にはファシリテーターがおり、このファシリテーターが作成した資料は2,3日前に出席者に送られる。資料は前述したとおり、グラフが主である。前月までの数字と昨年度の毎月の数字と今年の毎月の予算もグラフのなかには折れ線や、ドット(点)で示されている。

会議が始まるとファシリテーターが会社全体の数字から、各工場の数字についてポイントになるところを該当者に質問していく。事前に資料を見ている担当者はすでにその原因を説明できる状態になっているのがわかる。工場のグラフに移ると、差異の分析に入る。少し専門的だかが、差異の種類はいたって簡単で3種類だけだ。材料差異、労務費差異、間接費差異だ。

日本の感覚からするとこの差異に関する議論は、もう少し詳しく分析してもらうところだが、アメリカの風土にはこのシンプルさが良いと素直に感じた。

担当者の問題説明で、解決を図らなくてはならないポイントが出てくる。それをファシリテーターがお持ち帰りポイント(Take Away Point)としてノートに取る。もちろん誰がそのお持ち帰りポイントを次回の会議までに解決する、あるいは解決方法を考えるかは、明確に規定されている。

具体的には、材料差異に関する問題で、供給会社から受け取る材料にかかる運送代が予想以上に高く、問題とされた場合は、来月の会議までに、担当者は別の運送業者を捜すなりの別の解決方法を提示し、あるいはすでに実行されていることが期待される。

次に営業部門のパーフォーマンスのレビューになる。この企業が使用していた数値は、主要顧客別の前年度売上高、今年度売上高(月次値と累計値を昨年度と本年度、さらに本年度の予算)を見て、問題点を議論する。注残のグラフも月次のものをレビューする。

本体の会議が終わると同様の会議を、海外子会社の経営陣とマイクロソフトのスカイプフォービジネス(Skype for Business) を使い行う。この子会社はメキシコにある。少し英語の聞き取りが難しい。メキシコの人のアクセントとスカイプのマイクとやはりリミットはあるし、まだまだ改善の余地ありと感じた。

せっかく貴重な時間をみんな使って会議をしているのに、インターネットや、ソフトの問題で相手の声が途切れたりすると会議が台無しになってしまう。技術的なサポートはしっかりしないといけない。

これで会議は終了。合計で3時間の会議だった。派手さはないが、責任が明確にされた良い会議であると感じた。