在米の日系製造業を考えたときに、必ずでてくる質問があります。今回は、それを読者にぶつけてみたいと思います。このエクササイズが皆さまの組織を良くするためのお役に立てれば幸いです。

大体企業の組織とは、従来からある組織を踏襲している場合が多いようです。本来の機能を考えたことがある人は、少ないと思います。まずはそこから疑問を提起します。

「営業部門、製造部門、管理部門の持つ「本来の目的」をご自身の理解から明確に言えますか?」

自分の答を紙に書いてみてください。

次が模範解答です。

営業:売上を極大化するために、受注、納品、代金回収までの一連の活動を行い、製造部門に生産案件をもたらし、事業を拡大する。

製造:顧客が要求する品質と納期で製品やサービスを提供し、付加価値の最大化を目指す。

管理:経営理念や、会社方針の浸透と管理ルールの設定・運用を通じて採算部門(営業と製造)をサポートして、健全な企業経営を実現する。

次の質問を出します。

「御社が製造の外注を行っている場合は、上記のどの部門が本来の目的から外注管理を担うべきですか?」

答は、製造部門です。営業部門ではありません。営業部門の目的は売上の最大化であり、品質管理にかかわる外注の管理は製造部門が行うべきです。

「下請けなので、すでに主要な顧客がある。だから弊社では製造部門の中の生産管理部門が、受注の窓口になっている。本来の機能から言えば、これで正しいのか?」

答は「否」です。もしこの主要顧客が突然いなくなってしまったらどうなるでしょうか? 営業部門が欠落しているために、新規開拓が全然できておりません。営業部門がないといけないのです。

「出荷の作業は、繁閑期には人手が足りないこともあり、管理部門が行う。これは正しいのか?」

本来の機能から言いますと、納品は営業の役目です。営業は、受注だけでなく、納品、代金回収まで責任を負うのです。

管理部門に関する質問をします

「管理部門は、製造や営業を助けるのが役目である。各拠点や、事業部には特殊事情があり、いわゆるローカルルールを認めてあげて、管理するのが良い」

これも「否」です。ローカルルールは認めてはいけません。全社統一したルールを設定しないと、組織改編などに柔軟にかつ迅速に対応できず、各部門の成績も公平に判定できなくなるからです。ローカルルールを認めると、健全な企業経営ができなくなるからです。これこそ管理部門の本来の機能です。

最後の質問です。

「御社のマネージャーで上記の3主要部門のひとつに集中していない人がいますか?つまり営業と管理に責任があったり、製造と営業に責任がある人のことです。」

こういう責任を与えると、その人は別の方向に同時に引っ張られることになり、大変仕事が難しくなります。「営業ばかりしていると、社内の管理ができない。」そんな言葉を聞いたことはございませんか? その場合は、すっきりした責任分担になるように、組織の改編を行いましょう。

皆様、いかがでしょうか? 上記の考え方は、「稲盛和夫の実践アメーバ経営」副題「全社員が自ら採算をつくる」 に基づいています。(日本経済新聞出版社)詳しくはこの単行本をご参照ください。