米国会計基準では「代理人取引」という考え方があり場合によっては売上が総額表示できない場合があります。今回はこの、代理人取引について述べたいと思います。

会計上、会社が主体となり、顧客に商品やサービスを提供していると考えられる場合、売上は総額表示となります。一方、取引において第三者が介入しこの第三者が商品やサービスの提供を行うように依頼した場合は会社が主体となって取引を行っていないため代理人取引として考えられ、売上は純額表示となります。

総額表示の例としては、例えば一つの商品の売値が$100、売上原価が$80であったとします。本人取引として考えられた場合、総額表示では損益計算書上、売上$100、売上原価が$80と表示されます。もし代理人取引である場合は売上は$20(売上と原価を相殺した純額)として表示され、総額表示に比べて。なお、代理人取引では売上金額の表示は変わりますが、純利益の金額には影響を与えません。

では、どのような取引であれば代理人取引と考えられるのでしょうか?

米国会計基準(ASC606)では下記の事項を考慮して代理人取引として考えられるかを決定するとされています。

1. 会社が主となり顧客の要求を満たしている。例:会社は顧客の要求した商品及びサービスを提供する義務を持っている。

2.会社は在庫のリスクを持っている。例:倉庫にある商品は会社の在庫であり、倉庫から出荷された際に商品の所有権とリスクが顧客先に転換される。また。商品が返品されてきた際、会社が返品に関する債務を負う。会社が全く在庫のリスクを負わない取引(商品が仕入先から出荷され、出荷時に顧客へ商品の所有権が移転する)に関しては代理人取引と考えられる。

3. 会社が売値を決定する権限を持っている。例:会社が顧客と交渉し、売値を決定及び変更する権限を持っている。

上記の条件の一つに当てはまれば会社が主体となってビジネスを行っている本人取引と考えられ売上は総額表示となります。ただ上記以外にも、会社が売掛金回収のリスクを負っているか等も考慮対象なり、代理人取引として考えられるかを考慮する際には判断が必要になることも多々あります。例えば売値を決定する権限はないが売掛金が回収できない場合は会社が損失を被る場合、代理人ではなく本人として考えられ売上の総額表示が可能となる場合もあります。

取引及び状況によって判断が異なってきますので判断がつきくい、わかりにくい場合は是非CDH会計事務所の中尾 [email protected] までご連絡ください。