好景気、不景気というのはどうしてもあることで、どちらも永遠に続くものでもありません。よって、景気に左右されず常に利益を最大限に生み出す努力をすべきなのですが、好景気だとついつい油断してしまい、会社が発している大事なサインを見落とす可能性があるので各種の債務指標や、業績評価指標(Key Performance Indicator, KPI)を定期的かつ継続的に見直す作業は大変重要です。今回はKPI の一つである、入出金サイクルから読み取れる経営に重要なサインをご紹介します。

入出金サイクルとは、仕入先からの購入、その購入に対する支払い、客先への販売、その販売に対する売掛金の回収という工程を意味します。

皆様は自社の入出金サイクルは、日数にしてどのくらいであるかご存知でしょうか。入出金サイクルの日数は、「在庫回転日数」+「売掛金回収日数」-「買掛金未払日数」という計算式で算出する事ができます。この数字は、仕入先からの購入から、客先からの入金までにかかる日数を示します。つまり、数字が小さければ小さい程、在庫の回転率がよく、売掛金の回収も早く、買掛金の支払いも早いという事を意味します。以下は、入出金サイクルの日数が、企業に危険信号を示す兆候の一例です。

在庫回転日数: 2017年1月時点では34日であった在庫回転日数が、2018年9月には44日に増加。問題は、機械の生産力以上の原材料を仕入れている事なのか。あるいは労働力まはた生産性なのか。

売掛金回収日数: 2017年1月時点では32日であった売掛金回収日数が、2018年の9月には40日に増加。支払期日を過ぎている売掛金のモニタリングと、それらの売掛金に対する電話での問い合わせはされているのか。売掛金の回収不可能の可能性が高くなったのか?

買掛金未払日数: 2017年1月時点では32日であった買掛金支払日数が、2018年の9月には27日に減少。早期支払割引がないにも関わらず、なぜ仕入先への支払いが早くなったのか。

入出金サイクル日数: 上記の3つの例における入出金サイクルは、2017年の1月時点での34日から2018年の9月では57日に増加。予算では、2017年度末の50日から2018年度末では43日に改善を図るはずが、目標達成のための重要要素となるそれぞれの入出金サイクルの日数が、目標からそれてしまった。どのように軌道修正すべきなのか。

上記の例は全て、企業内部で起こっている危険信号を示す指標です。経営陣は、これらの指標を基に、購入、製造、会計、販売などの様々な部門と協力し、モニタリングと管理を行う事が必要です。さらに一歩踏み込み、内部指標の継続的な改善を目指すためには、目標を設定します。目標を一つ達成したら、さらなる改善のために、次の新たな目標をたてます。このステップを繰り返すことにより、継続的な改善という文化が確立されます。継続的な改善に取り組むことで、競争の激しい市場でも勝ち残っていける企業と成長するのです。

CDHのエグゼクティブフォーカスサービスは、御社に合ったKPIの設定をサポートし社内を活性化するためのお手伝いを致します。会社経営のKPIをユニークなフォーマットを使用し、社内を監視、管理し、継続的な改善をお手伝いするサポートを40年以上に渡り行っている実績があります。詳しくは、経営コンサルタントディレクターのデニス・ピアースまで(262-784-4040、Eメール:[email protected])ご連絡下さい。