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日本に帰国されるときに、考えられるパターンは大きく3通りあります:

    • 帰国後永住権を放棄する
    • 帰国後も永住権の放棄の手続きを行わない
    • 米国市民権を米国で取得して、日本に帰国する

今回はこの3パターンを様々な側面から徹底比較をしてみたいと思います。まずは比較の前に注意点から。

1,注意点

この記事の「永住権を放棄する」とは税務上でのプロセスのことで、移民法上での手続きについては記事の主旨ではありません。税務上のルールは、8年以上永住権を保持していた人は、Form 8854を提出して、税務上の永住権(米国の居住者)ではなくなります。

次に米国市民権を取得した場合は、自動的に日本の国籍は消失します。この記事では「市民権保持」とは、米国籍を取得し、日本の戸籍を除籍して、日本のパスポートも保持していないという想定です。

2, 比較結果

3,比較結果の説明

1,ここは私の専門分野以外です。日本の法務省より在留資格を取得して、在留カードをもらうそうです。多くの場合は3年間の在留資格をもらうことができ、その間に日本の永住権を取得できるそうです。[i] この部分に関してさらに興味のある方は日本在住の専門家の方をご紹介します。

2,この米国の滞在に関しても私の専門外です。通常、移民法上のグリーンカードは、半年以上海外にいると効力を失います。そのため、米国に入国する際は普通のビジターとして入国することになると思います。滞在できる期間も限定されます。

3, 投資口座は外国人でも持つことができるように思えます。筆者はSB証券と楽天証券を調べましたところ、取引制限があります。例えば、東証上場の外国株式、米国籍の国内上場EFT、JDR, 外国株式などは取引ができないようです。[ii] 国のルールとして、出ている文章を見つけることは、できませんでした。

4, 永住権を放棄しない人が米国遺産税でどのように扱われるのかについては、議論が分かれています。ひとつは、永住権の放棄をしていなくとも、日本に生活の本拠を移した人は、遺産税上では米国非居住者として扱うと、税務上の永住権を持っていれば、米国居住者のままであるという考え方です。非居住者であれば、米国だけにある資産が米国遺産税の対象であり、居住者であれば、全世界の資産が遺産税の対象です。[iii]

5,米国で不動産賃貸業をしている人などは、その活動だけは、米国非居住者として税務申告の義務があります。(もちろん源泉だけで済ませるという選択肢もあります。)米国にまだ資産がある方は、要注意という言い方で止めておきたいと思います。[iv]

6, LTRと言い、グリーンカードを8年以上保有していた場合は、Form 8854を提出義務があり、出国税を支払う可能性があります。[v]

4,総論

筆者がこの文章を作成後に考えたのは、米国市民として日本に住むのも、それほど悪くないと感じたことです。問題になるのは、米国への税務申告、税務報告義務だけです。日本に住んで、日本の相続税さえ気にならず、かつ税務申告、報告義務さえ正しく行っておけば、年金、生活環境、医療などの日本の良い点を享受できるように思えました。

もちろんこれは個人レベルで大きく違いますので、読者の皆様のひとつのレファレンスとして考えていただければ幸いです。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

おこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] YouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。