米国非居住者である日本在住のご両親から日本にある現金や株式・家屋等を相続・受贈した場合、日本で相続税や贈与税の申告をしなければなりません。

日米相続税条約では相続・贈与に関わる相続人・被相続人及び贈与者・受贈者の居住国、又、その財産の所在地により、国際的2重課税を避けるための対策が取られています。日本では相続人・受贈者に納税の義務がありますが、米国では逆に被相続人・贈与者に納税の義務があります。従って米国では相続人・受贈者にはこれら贈与税や相続税の申告は必要なく、収入に含める必要もありません。

但し、受贈額や相続した財産の市場価額が10万ドルを超える場合はForm 3520 (Annual Return To Report Transactions With Foreign Trusts and Receipt of Certain Foreign Gifts)をIRSに提出しなければなりません。このフォームは開示報告のみであり、受領金額によって課税されることはありません。

ペナルティに要注意!

もしこのForm 3520を当該年度に申告しないと$10,000、又は受贈・相続した金額の35%、いずれか大きい金額のペナルティが発生します。日本できちんと贈与税や相続税の申告をしていても、米国で申告を忘れると、例えば100万ドルの相続に対し35万ドルのペナルティを支払わなければならないことになります。締切りは翌年の4月15日、確定申告のForm 1040を6か月延長された方は自動的に10月15日となります。

又、もし米国に送金前に一時的に日本の口座に入金するとFBAR での米国外金融資産開示報告、及びForm 8938での開示も必要になります。FBARの報告漏れは1口座1年で$10,000のペナルティが課されます。特に悪意があると見做された場合、民事罰では開示漏れ1件につき$100,000又はその口座残高の50%、いずれか大きい方の金額がペナルティとして未報告年数分が課せられます。Form 8938の開示報告は1年分につき$10,000です。

有価証券の場合、特に注意が必要です。株式の受贈・相続の場合、その会社の10%以上の株数を受領すると別途Form 5471での開示申告が必要になり、こちらも怠ると1社1年につき$10,000のペナルティが課されます。又、一億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの資産を米国居住者が相続人または受贈者として所得する場合は国外転出時課税制度が適用され、対象資産の含み益に対して所得税が課税されます。

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(注)この税法に関する文章は、筆者が現時点で正しいと思われる情報をニューズレター用に分かりやすく要約したものです。あくまで読者の皆様の注意を喚起し、参考にしていただくことを目的として書かれた文章です。実際のルールの適用は必ず皆様の信頼される税務の専門家にご相談ください。

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