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日本に帰国を目の前にしている人を対象に記事を書いてみました。帰国前のチェック項目を3つのポイントで説明します。

 

1. 源泉税の支払い

 

IRAや401(k)の解約時に必要な源泉ですが、帰国の際は忘れることのないようにしたいものです。

源泉とは、引き出し時に何パーセントかを自動的にIRSと州政府(課税されない州もあります)に予想の税金を金融機関から支払ってもらい、自身はネット、つまり総額マイナス源泉税額を受け取ることです。

IRAや401(k)は、所得税が一度もかかっていない金額ですので、解約後に源泉をしないで引き出すと帰国してから行う米国の最後の申告書で、多額な追徴金と利子・ペナルティを支払うことになります。

多くの場合は、自動的に源泉のパーセンテージが設定されており、心配される必要のない人も多いのですが、州を移動したりした場合に、その設定の手続きを怠ったりすることもあります。また多額になれば累進税率で税額も高くなりますので注意が必要です。

翌年の春に行う税務申告で実際の税額と源泉した税額の差額が還付されたり、追徴になってりします。

この源泉作業は解約時にしっかり行ってから帰国しましょう。もちろん解約しないで口座を維持するという選択肢もあります。

 

2. 銀行口座の維持

 

帰国の際に銀行口座を閉めたくなります。しかしほとんどの場合は、税務申告という作業がまだ残っているので、口座が必要になります。その理由は以下の通りです。

今年の10月に帰国したと仮定すると、翌年の春には今年の税務申告を提出します。その支払いあるいは還付が発生します。米国にまだ銀行口座がないと、IRSなどから小切手を受け取っても、入金ができないし、支払いをしようにも銀行口座がないとできません。一番厄介なのは日本の住所に小切手が送られる場合です。日本では基本的に米国の小切手を換金できません。

しかし最後の税務申告が終了したときには多くの場合、この口座は不必要になります。その場合は日本にいて口座を閉めることになります。帰国前にこの方法を金融機関に確認してから帰国しましょう。いつかは口座は閉めないといけないで、この方法をあらかじめ確認しておくのです。

最後に帰国直前でも帰国してからでも構いませんが、W-8BENというフォームに記入して金融機関に提出しておきましょう。このフォームは口座があるかぎり3年に一度提出義務があります。記入の仕方はIRSのインストラクションを参考にしてください。このフォームは基本的に日本からの通常郵便で郵送です。

 

3. 年金の受け取り

 

まずソーシャルセキュリティの受取りのための米国の銀行口座から日本の銀行口座への切り替えは日本に到着してからできます。ソーシャルセキュリティの受取りは日本の国籍をお持ちの方なら全世界に送金してくれます。

Form SSA-21(住所変更手続き)とForm SSA-1199-JA(振込口座変更手続き)というフォームに記入して郵送で処理することもできますし、米国の大使館の窓口で申し込みもできます。コロナの状況で現在窓口がどのようになっているかわかりませんが、電話やWebsiteなどでご確認ください。「連邦年金課」という部署で扱っているそうです。通常、銀行口座を変えるには半年程度かかるそうです。

つぎに私的年金を受け取る方です。私的年金といった場合に、IRAや401(k)は当然で、お亡くなりになられた配偶者の年金を受け取る方も多いようです。ここで一番注意していただきたいことは、取り合いを行う金融機関が日本の自分の口座に送金してくれるか確認することです。窓口や、電話で簡単に「大丈夫」と言われても絶対に信じてはいけません。絶対に大丈夫であるということを、責任を取れる人から伝えてもらうことが一番肝要です。書面でもらうのもひとつの方法です。

いままで多くの方が簡単な「大丈夫」の一言で惑わされてきました。帰国してからでは、殆ど何もできませんので、帰国前にしっかり確認しましょう。送金ができない場合は、国内口座を維持し続けるか、その他の方法を考えないといけません。

最後に多くの方が、米国で引き続き年金に対する税金を支払い続けると間違った認識をしています。米国の非居住者になり、日本の居住者になれば、日米租税条約のおかげで日本で課税されるだけです。前述のW-8BENの提出は必須になります。ご安心ください。

 

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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