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米国の贈与税と相続税は、Unified Creditという名前でひとつの枠があります。日本語に訳しますと「生涯非課税枠」です。これは、米国が贈与税と相続税を一連の連続した流れで捉えていることを意味すると思います。筆者は、日本でも同じ方向になる立法が考えられているとこ聞きます。

1,贈与の年間非課税枠

この生涯非課税枠の使い方について、今回は説明したいと思います。まず贈与には、一年間の配偶者以外への非課税枠が存在します。その金額は2022年度で$16,000です。受贈者ひとりあたりで、年間この金額までの贈与であれば、生涯非課税枠も関係しない、まったく何もしなくて良い範囲での贈与ということになります。この金額を超えると、生涯非課税枠を考えないといけません。

2,生涯非課税枠

この金額を超える贈与をした場合に、生涯非課税枠が計算過程に入ってまいります。さてその前に2022年度の生涯非課税枠は、$12,060,000です。夫婦だとこの2倍の金額に合計額がなります。この金額は毎年インフレーションによって調整されています。

3,イラストレーション

さて添付の図表をご覧ください。ステップバイステップで説明します。

  • あなたは現時点で総資産300万ドルと仮定します。またあなたも子供も贈与税、遺産税法での米国居住者です。
  • ある日、50万ドルをひとりの子供に贈与しました。
  • 贈与の年間非課税枠は$16,000ですので、この超過額は、$484,000です。($500k-$1.6k)
  • あなたは、非課税枠を超えての贈与ですから、贈与税の申告が必要です。(米国では、贈与者に申告義務があります。)贈与税で$484k課税対象の贈与をしたと報告します。
  • しかし贈与税は支払う必要はありません。その代わりに生涯非課税枠が$484,000減額されます。
  • あなたが死亡時には、あなたの総資産が$2,500,000と仮定しましょう。もしあなたの死亡年が2022年だったとすると、生涯非課税枠は$12,060,000だと前述しました。
  • この枠は、(5)で$484,000減額されております。したがって残りの枠は、$11,576,000です。($12,060k-$484k)
  • この残りの枠の$11,576,000は、あなたの総資産の$2,500,000以上ですので、あなたは米国の遺産税を支払う必要はありません。あなたの資産は、残りの非課税枠の枠内だからです。しかし遺産税の申告書(From 706は作成しないといけない場合が多いようです。)

このように、米国では贈与と相続がひとつの流れで管理されているのです。この記事では米国市民以外の配偶者への非課税枠、そして米国市民の配偶者が享受できるUnlimited Marital Deduction、最後に贈与税、遺産税を考える上でのDomicileという考え方には言及しておりません。なかなか難しい分野ですので、十分気を付けてください。しかし、この生涯非課税枠の使用のプロセスについては、ご理解いただけたと思います。

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