毎年の確定申告。みなさんはどのように申告されていますか?ソフトウェアを購入してご自分で、申告代行サービスを利用、それとも会計事務所さんへ依頼?

 

1.申告作業の負担は軽減されている?

IRS Form 1040 Instruction には、その申告書作成にかかる見積時間(納税者負担時間)が記載されています。2020年の1040申告書作成作業の平均見積時間は、12時間 [i]。その内訳は:

[記録管理 5時間]+[税務計画 2時間]+[申告書作成 4時間]+[その他 1時間]=合計12時間

この見積は、IRSが毎年行うTaxpayer Compliance Burden Surveyという調査結果を元に算出されており、毎年数字が異なります[ii]。時系列に見ると、10年前には現在の1.5倍の時間がかかっていたのですから、私たちの申告作業の負担時間は年々減ってきているよう見えます。ご自分と照らし合わせてみていかがですか?

 

2.最も時間のかかる準備は、「記録管理」。

もちろん、平均準備時間は申告書のボリュームによります。下図は、納税者タイプ別に分けた準備時間をまとめた表です。全1040納税者の69%にあたる長い形式の1040を提出する納税者は、申告準備に平均16時間を費やしており、実に準備の半分は「記録管理(8時間)」なのです。

もっとも、準備にかける時間は人それぞれですので、これは単なる平均にすぎません。しかし、傾向としては、どの納税者にとっても「記録管理」が準備の中で最大時間のかかる部分であり、申告作業に費やす時間を削減する方法は、この1年を通した記録管理を正確に、完全に、効率的に行うことかもしれません。特に、正確な記録は、IRS監査に対する最善策でもあります。

 

3.12時間を実りあるものに。

 

日本の確定申告においては個人が手続きをする機会が少ないと考えられますが、アメリカにおいては確定申告は個人に義務付けられています。納税者が自分の税金対策についてプロアクティブに参加できるという意味では、どのみち費やす必要のある平均12時間を「負担」と捉えるよりは、節税の「チャンス」と捉えることが良案のように思えます。実際に、アメリカ国民にとっては日ごろから税金を意識してファイナンシャルプランを立てることが当たり前になっていますので、この12時間というのはその1年の集大成とも言えますでしょうか。

IRSは2021年の申告作業の負担時間を何時間に見積もるでしょう。是非、来年の集大成に向けて、日ごろの記録管理を続けてください。

まとめ
    • 申告書作成負担時間は年々軽減されており、現在は平均12時間。10年前と比べて6時間軽減。
    • 時間の約半分は「記録管理」。1年を通して正確な記録をつけていくことが、時間節約にもIRS監査にも大切となる。
    • 申告書作成の12時間は、1年を通した記録管理と税務計画の集大成。来年度のファイナンシャルプランに繋げましょう。

 

この記事は、複雑な税法や規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的で提供されています。内容が不確かな場合、実際のアクションを取る際等には、常に税務・法務などの専門家と相談をしてください。

この記事に関するご質問は、ハラー基江[email protected]まで。CDH会計事務所では米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。弊社のYouTubeクロスボーダーチャンネルではいろいろな内容を取り上げて説明しています。是非ご覧ください。また無料相談も行っています(予約リンク)。


[i] https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/i1040gi.pdf

[ii] https://www.irs.gov/pub/irs-utl/f14404asample.pdf