クロスボーダーライフをサポートする

米国の相続で一番重要なコンセプトがステップアップベイシス、あるいはステップトアップベイシス(Stepped-up Basis)と呼ばれるものです。こちらのコンセプトを説明します。これがわかると、知識の幅がどんどん広がります。

  • ベイシス

ベイシス(Basis)とは、税務上でキャピタルゲインを計算するときに使う、いわゆるコスト(原価)のことを示します。まずこれを覚えてください。米国税務ではこのベイシスという言葉が良く出てきます。

  • 贈与と相続のあなたのベイシスの違い

次に贈与と、相続の違いを上記の表で理解してもらいたいのです。贈与の場合は、もらう側の原価は、あげる側の原価を受け継ぐというルールになっています。つまりギフトをする人が$500k($500,000)で購入した家を、あなたが受贈したときは、あなたのコストは、$500kです。この数字があなたに付いて回ります。

これに対して、あげる人が死亡して、あなたが相続を受けた場合は、あげる人の購入価格ではなく、あげる人の死亡時の市場価値がベイシスになります。死亡時の市場価値が$1,000kの場合は、あなたのベイシスは$1,000kになります。

  • キャピタルゲインの見地から

将来、あなたは、この不動産を販売すると仮定します。この不動産が$1,500kで販売された場合のキャピタルゲインは、贈与と相続では大きく違います。なぜなら、ベイシスが$500k、$1,000kとそれぞれ違い、相続のほうが$500k安いことに気が付かれたでしょう。したがって販売時のキャピタルゲインの税額も大きく違うことになるわけです。

  • ステップトアップベイシス

相続時の市場価値があなたのベイシスになった場合をステップトアップベイシスと呼ばれます。このケースでは、あげる人が購入してから、死亡時までの値上がりの$500kは、販売時には課税されないことがわかります。だから、このステップトアップベイシスが税務上では有利になると言われるわけです。

  • 最後に

単純に相続で自身の資産を移動しようと、この記事だけで結論付けないでください。贈与には贈与の良い点があります。販売時にロスの場合のベイシスの計算方法も違いますし、その他の細かいルールもあり、さらに州ごとでのルールも適用される場合があります。ぜひ記事のポイントのステップトアップベイシスを理解しつつ、まだまだ複雑なルールがあるんだというポイントも忘れないようにしてください。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記のWebsiteよりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

CDHのリソースは、https://www.cdhcpa.com/ja/personal-tax/ のページですべてアクセスできます。YouTube、FaceBook、無料のオンラインでのコンサルテーション、遺産、永住権の放棄、出国税、Form 1040、税金シミュレーション、海外資産報告などの分野ごとのオンライン質問フォーム、月次のニュースレターのサインアップなどがございます。情報満載の過去の記事は、https://www.cdhcpa.com/ja/news/ からどうぞ。ぜひお気軽にご利用ください。