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今回は、日本の税金制度について、説明します。筆者の私は米国のCPAですが、日本の税理士の資格を持っているわけではありませんので、詳細は必ず日本の税理士に確認されていただくようにお願いします。もちろんCDHで連携している日本の税理士事務所をご紹介します。

敢えて、このトピックを取り上げたのは、対象者が多いと思われるからです。米国籍を取得して帰国する、あるいは配偶者が米国人で、配偶者と一緒に日本に住むために帰国するケースもかなり多いと思います。そのような方たちに必ず関係してくるルールですので、敢えて記事にさせてもらいました。この記事の対象読者は外国籍の人で日本に住む方です。

1.ルールの概要

このルールは、「非永住者の送金課税」と呼ばれているようです。これは日本に来て間もない外国人が日本国外から送金をして、受領した場合の日本の課税制度です。

対象になるのは「非永住者」です。次にこの「非永住者」の定義を見てみましょう。非永住者とは、日本国籍を持たない外国人の居住者で、過去10年以内の日本の居住期間の合計が5年以下である個人をいうそうです。ちなみに、5年超の人は、税法上は「永住者」という範疇になるそうです。[i]

つぎに何か課税対象になるのかを説明します。こちらは、日本の松永篤税理士事務所のWEBSITEを参考にさせてもらいました。[ii] ふたつの種類の送金が課税されるようです。

ひとつは、「為替等により直接送付され、または預金口座に直接振り込まれたものが、国外源泉所得の国内払い」として課税範囲に含まれると松永先生は説明されています。これは、米国で投資利益などが発生している年に、日本に送金をすると米国であげた利益(投資所得)の日本の国内払いと認識されて課税されるケースを想定していただければ良いと思います。国外源泉所得とは、米国にある不動産を販売したケースや米国でお持ちの株式の配当収入などが考えられます。

次に「海外から日本の口座への送金、海外の口座を引落し口座にしているクレジットカードを日本で使用した場合」も含まれるそうです。

最後に課税の上限ですが、必ずしも送金全額に課税されるわけではなく、限度があるようです。(これを国外源泉所得の国外払い呼ぶようです。)

2.注意点とわからない点

筆者は日本の税法の専門家ではありませんので、税率や、具体的にどのように課税範囲が決まるのかなどについては、説明できません。この記事の主旨としては、帰国される外国籍の人に注意を喚起することです。詳しい説明は、しっかりとした資格がある方から受けてください。

次に送金しないのだったら非課税で税金が絶対にかからないと思われる方がいるかもしれません。しかし、送金しなくても米国で発生している利益ですので、米国市民であれば当然課税されます。米国市民権を持つ限り、全世界のご自身の全収入に米国での税務の対象になります。税金がかからないお金になるとは、少し甘い考え方ですね。

最後に5年超経てば、送金されなくても国外源泉所得も含めての全所得、つまり全世界での所得が日本で課税されることになります。

3.どのようなケースで個の税法ルールを検討しないといけないのか?

やはり対象になる方(日本国籍を持たない外国人)が、日本に住まれる予定で日本に行かれる場合には、どうしても生活を組み立てる資金が必要になると考えられます。まずはマンションを購入したり、家具などを揃えたりです。どうしてもある程度の金額を送金しないといけない。つまり送金の必要性が出てくるのです。

もちろん米国で課税される所得なのですが、できれば日本で課税されることを避けることを考えたほうが、二重課税を引き起こして、外国税額控除を使い減額を試みるという複雑な税務申告をしなくて済むほうが、良いと思います。

このような局面に遭遇すると予想される方は、ぜひ事前のプランニングをしっかり行うことが必要になります。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

おこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] YouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。

[i] https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01/01.htm

[ii] https://mtng-tax.com/non-permanent-resident/