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永住権から米国籍を取得する際に、絶対に知っていてもらいたい日米の年金知識を3つ説明します。知っていると、知らないとで大きな差が出るアメリカ社会に生活する皆様のために、開設を構成してみました。

1, ソーシャルセキュリティ

米国の年金制度であるソーシャルセキュリティでは、米国籍の場合、受給資格さえあれば、米国外に滞在していても受け取る権利があります。これはご自身の老齢年金でも、遺族年金、家族年金でも同じです。

次に永住権者の場合ですが、日本はアメリカが社会保障協定を締結している21ケ国のなかに入りますので、アメリカ国外にいても受給できます。もちろんアメリカに在住でも差別はありません。

実は、二国間の条約ですので、日本国民であれば、ソーシャルセキュリティの受給資格さえあれば、アメリカ国籍の人と変わらずに受給できます。つまり永住権を日本に帰国後に放棄しても、受給資格には変更はありません。

ソーシャルセキュリティオフィスに行きますと、アメリカを出ると受給ができなくなる、永住権をなくすと受給できなくなると言う担当官がいるようですが、これは真実ではありません。心配しないでください。

 

2, カラ期間活用

日本の年金の受給のための資格期間は現在10年です。この資格期間の計算に、20歳から60歳までに海外にいた期間を足すことができます。これがカラ期間です。このカラ期間は、日本国籍で海外に在住していた期間と規定されています。したがって米国籍を取得したと同時に、このカラ期間を使う権利がなくなってしまいます。

もう少し簡単に説明すると、例えば日本で5年働いていた場合は、年金加入期間は5年間です。そして、その後アメリカに渡り、5年間主婦でいた場合に、この後者の5年間をカラ期間と呼び、5年+5年で10年になり、この方は、このために日本の年金受給の資格が生じます。しかし、この方が米国籍を米国に渡ったときにすぐに取得された場合は、日本国籍ではないので、カラ期間にはなりません。ここが国籍による違いになります。

もちろん現在は日米社会保障協定により日米の年金加入期間が通算されるようになっておりますので、もしこの方が米国で働いた実績があれば、カラ期間を使用する必要はなくすことができます。

 

3, 国民年金の任意加入

国民年金は、日本に居住している場合は強制加入の制度ですが、海外に出ますとこちらが任意加入になります。つまり、自分の意志で、加入し続けることができます。この場合は、出国の際に必ず転出届を提出して住民票を抜かないといけません。

国民年金は、国が半分の費用を負担してくれている非常にお得な制度のようで、米国にいても継続することをお勧めします。

しかし、このお得な任意加入ができるのは、日本国民に限られますので、米国籍を取った場合は、この任意加入ができなくなります。つまりアメリカ国籍を取得した時点で、国民年金の海外での任意加入の権利を失います。こちらも国籍の違いが年金の違いに現れるポイントになります。

 

4, 最後に

日本でもし配偶者のひとりが日本の年金制度に加入していれば、その方が亡くなった場合には、もう片方の配偶者が日本の年金制度のなかの遺族年金をもらえる可能性があります。複雑な規則のようで、筆者の理解を超え、この記事では説明をしませんが、国籍が日本人でないから、もらえないという制度はありません。つまり日本の遺族年金をもらうのに、国籍は関係ありません。

アメリカ国籍を選択するのは、人生の非常に重要な選択のひとつです。上記の点も考慮されて、ご自身の納得できる決断をされてください。

 

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

なおYouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。また無料相談も行っています。こちらのリンクからご予約ください。メールでのご質問は、面会させていただいてお答えしております。https://outlook.office365.com/owa/calendar/[email protected]/bookings/

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