2020年12月27日に署名されたConsolidated Appropriations Actにより、Employee Retention Creditが改定され、この税額控除がより申請しやすくなりました。今回の改定は、CARES Actにより出されたオリジナルのEmployee Retention Creditの改定で、2020年度分も過去に遡って申請できるものと、2021年度に申請できるものとが出されました。

2020年Employee Retention Credit

CARES Actにより、2020年3月13日から2020年12月31日までに支払われた適格給与のうち、従業員一人あたり最大$10,000の50%($5,000/人)までを給与税税額控除として申請できるようになりました。また、この税額控除は還付可能ですので、相殺する給与税の支払がなくても還付金として申請可能です。

申請条件

1, 事業活動をしていること。

2,下記のいずれかに該当すること。

a) 政府や州の規則により、事業活動の全部または一部が停止となった。

もしくは、

b) 四半期ごとの売上が、2019年度の同四半期と比べ50%以下となった。この場合、一度50%以下となると、売上が80%以上に戻るまでは、税額控除対象となります。

適格給与

A) 2019年度フルタイム従業員数100名以下の企業の場合、

対象期間中に支払った全従業員給与が対象

B) 2019年度フルタイム従業員数100名以上の企業の場合、

対象期間中に勤務していない従業員に支払った給与が対象

申請方法

給与税申告書の修正申告を提出し申請する。

<注意>

Employee Retention Creditのルールには「グループルール」があり、50%以上の資本関係でつながっているグループ会社は世界中どこの国の会社であっても1つの会社とみなされ、売上や従業員数を考える際、全グループの売上や従業員数を考慮しなければいけません。ですので、例えば、米国子会社の売上が2019年と比較して50%以下であっても、日本の親会社の売上が50%以下になっていなければ、税額控除の対象とはなりません。また、従業員数の計算も同様、米国子会社の全従業員数が100名以下でも、全世界グループ企業の総従業員数が100名以上の場合、適格給与計算では上記Bが適用となります。

<PPPとの兼ね合い>

オリジナルのEmployee Retention Creditのルールでは、PPPローンを受け取った企業はEmployee Retention Creditの対象にならないとされていたのですが、今回の改定により、PPPローンを受け取った企業もEmployee Retention Credit対象になることになりました。ただし、PPPローンで債務免除を受けた給与に対してはEmployee Retention Creditは適用になりません。

2021年Employee Retention Credit

Consolidated Appropriations Actにより、2021年1月1日から2021年6月30日までに支払われた適格給与のうち、四半期ごと従業員一人あたり最大$10,000の70%($7,000/人)までを給与税税額控除として申請できるようになりました。また、この税額控除は還付可能ですので、相殺する給与税の支払がなくても還付金として申請可能です。

申請条件

1.事業活動をしていること。

2.下記のいずれかに該当すること。

a) 政府や州の規則により、事業活動の全部または一部が停止となった。

もしくは、

b) 四半期ごとの売上が、2019年度の同四半期と比べ80以下となった。

*2020年では、売上が50%以下とならなければ税額控除対象とならなかったのですが、2021年では、売上が80%以下(20%減)となれば対象となるようになりました。

適格給与

1.2019年度フルタイム従業員数500以下の企業

対象期間中に支払った全従業員給与が対象

2.2019年度フルタイム従業員数500以上の企業

対象期間中に勤務していない従業員に支払った給与が対象

*2020年のEmployee Retention Creditルールでは、従業員数が100名以下かどうかで適格給与算出方法が違いましたが、2021年のルールでは、従業員数が500名以下かどうかで算出方法が異なることとなりました。

申請方法

2021年四半期給与税申告書にて申請可能。

*従業員数500名以下の企業に対しては、税額控除の前払いが可能で、2019年の同四半期の給与をベースに税額控除前払いを申請できます。ただし、前払い金額が実際の四半期給与税申告書上で申告した金額より多い場合は、払い戻さなければいけません。

<注意>

上記2020年の<注意>と<PPPとの兼ね合い>で記載した内容は、2021年にも当てはまります。

ご質問、お問い合わせはCDH Tax Teamまでご連絡下さい。