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米国で離婚をする際に、重要になるのが税務知識です。片方の配偶者に完全に税務面での作業を頼り切っていると、離婚時に自身の知識のなさを痛感して、大きな後悔をすることになります。幸せな結婚生活を継続するのが筆者の願いですが、離婚をされる場合もあるでしょう。今回は、離婚をされるときに少なくとも絶対に知っておいてもらいたい知識を3つ選んで説明します。
1、申告形態と年末の婚姻関係
まず年末の婚姻関係で税務申告の形態が変わります。その年の12月31日に結婚されている人は、夫婦合算申告(Married Filing Joint)と夫婦個別申告(Married Filing Separate0の選択肢があります。離婚時に覚えておくべき点は、夫婦合算申告は、夫婦二人が必ずサインをして、夫婦で共同で債務を負う点です。次に覚えておいてもらいたいのは、夫婦合算申告のほうが、税率が有利になります。しかし夫婦合算申告が一概に、一番良いとは言えません。例えば一方の配偶者がほとんど所得がないか、あるいは別の配偶者に比較して非常に所得が低ければ、その配偶者は、夫婦個別申告をしたほうが、得になるケースがあります。
もし年末までに離婚の法的プロセスが完了していれば、特定世帯主(Head of Household)
あるいは独身者(Single)として申告をすることができます。特定世帯主とは、年度における半年以上家計を負担している場合であり、税率も有利になります。独身者として申告する場合が税率としては、一番不利になります。[i]
2 、ソーシャルセキュリティの受給と離婚
婚姻関係が10年以上続いていた場合は、離婚した配偶者がもう一方の配偶者のベネフィットの最高50%までを貰い続けることができます。その他の条件としては、自身がまだ未婚であること。そして、自身が62歳以上であることです。他にもかなり細かいルールがありますので、詳しくは、ソーシャルセキュリティオフィスのサイトで確認してください。元の結婚相手が再婚をしても、上記の条件をあなたが満たしていればソーシャルセキュリティを受け取ることができるのです。[ii]
3、401(k)やIRA
同様に適格退職年金と呼ばれる401(k) やIRAを受け取ることもできます。もちろん会税対象にならないように気を付けないといけませんが、それほど難しくなく、これらの適格年金を離婚時に分けてもらうこともできそうです。[iii] 適格年金は非課税で維持できるもので、退職時にはとても有利に働くものです。ぜひ考えたいものです。
注意点としては、離婚後にBeneficiaryと呼ばれる受益者の名前をしっかり変更しておくことです。
最後の全体的な注意点としては、日本語ができる離婚の弁護士があまり米国にはいない点です。東海外と西海岸の大都市だけかろうじて、Family Lawyerとして日本語で助けてくれる弁護士がいるようです。したがって殆どの日本人は、英語の弁護士を雇わざるを得ず、それでなくても難しい単語が出てくるなかで、なんとか離婚の交渉をしないといけないわけです。そんな場合は、英語の専門用語がわかり、税務の面でもサポートしてくれる会計士を離婚のための弁護士と同時に雇い、自身の満足できる交渉ができるようにするべきです。この場合の会計士は通訳であり、弁護士のサポート役としても機能します。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
おこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] YouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。
[i] https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p501.pdf, page 2
[ii] https://www.ssa.gov/benefits/retirement/planner/applying7.html
[iii] https://www.irs.gov/retirement-plans/plan-participant-employee/retirement-topics-divorce