今回は米国の財産の移転に伴う連邦税と州税について説 明します。
連邦遺産税 (Federal Estate Tax)
2019年度の非課税額は11.4百万ドル、累進課税の最高税額は40%です。死後9か月以内にForm 706を申告しますが、6か月の延長が可能です。非課税額未満であれば申告の必要はありません。
連邦贈与税 (Federal Gift Tax)
配偶者以外に対する贈与の非課税額は一人年間15,000ドル、夫婦で30,000ドル。贈与者の生涯非課税額は11.4百万ドル、夫婦で22.8百万ドル。
特例として学費や医療費を直接払い込む場合は限度額は適用されません。また配偶者の一人が姪Aに18,000ドルの贈与をし、もう一人の配偶者が甥Bに28,000ドルの贈与をしても、夫婦での申告にすれば非課税額は受贈者一人に対して30,000ドルになるため贈与税は発生しません。但しこの場合はForm 709での申請が必要となります。
この生涯非課税額は2025年までです。つまり議会がこの生涯非課税額を延長しない限り、5,690,000ドルに戻ってしまいます。夫婦二人で子供一人に対してに毎年30,000ドルの贈与を10年間年間続けるとかなりの相続税対策となりますね。
州遺産税 (State Death Tax)
2019年度はコネチカット、コロンビア特別区、ハワイ、イリノイ、メイン、マサチューセッツ、メリーランド、ミネソタ、ニューヨーク、オレゴン、ロードアイランド、ベルモント、ワシントン州で適用されます。
ハワイやニューヨークなど5州では連邦と同じ11.4百万ドルまで非課税ですが他の州は1~4百万ドルまでで、累進課税の最高税率は州により12~20%です。この遺産税は連邦遺産税から控除の対象となります。但し、連邦遺産税は11.4百万ドルまで非課税のため、必ず控除できるとは限りません。大きな遺産がなくても州によっては死んでもお金がかかることになります。
州相続税 (State Inheritance Tax)
2019年度はアイオワ、ケンタッキー、ネブラスカ、ペンシルバニア、メリーランド、ニュージャージー州でのみ適用されます。
米国では贈与者または被相続人(代理人)が納税の義務があります。ところがこれらの州は日本で言う相続人に課せられる相続税があり、最高税率はネブラスカ州が一番高く18%です。配偶者は全額非課税ですが、直径家族は一部が非課税となります。
(注)この税法に関する文章は筆者が現時点で正しいと思われる情報をわかりやすく要約したものです。あくまで参考にしていただくことを目的として書かれた文章ですのでご質問のある方はお気軽に武藤 ([email protected]、 (630) 285-0215) までお問い合わせ下さい。