アメリカで従業員を雇用する際には、必ず失業保険事務所に登録して、適切な失業保険税を支払うことが必要です。アメリカの失業保険税制は連邦ではなく各州により管轄されていますので、州ごとに税率など詳細部分は異なり、課税ルールも多種多様となります。今回はイリノイ州の失業保険税制についてご説明します。

イリノイ州失業保険税の概要(2022年度)

  • 課税対象上限額$12,960
  • 税率725%~7.625%
  • 2022年に起業した新会社に適用される税率525%

従業員に給与を支払う際、従業員一人あたり$12,960までの給与額に対して失業保険税が課されます。税率が1.0%であった場合、$129.60が税額となります。1月からの毎月の給与額が$5,000であった場合、1月の給与$5,000に対する1%の$50、2月の給与$5,000に対する1%の$50、そして3月に上限までの残りの$2,960に対する1%の$29.60が課税額となり、$12,960の上限に達した後の4月以降は課税は発生しないことになります。翌年1月の新年度からリセットされ再度課税されることになります。

上記$129.60の失業保険税は会社が負担する税金で、従業員が負担する税金ではありません。従業員一人あたりの税金ですので、従業員が100人いれば$129.60 x 100人 = $12,960.00が税額となります。税率が0.725%から7.625%まで幅がありますが、頻繁に従業員を解雇している会社ほど税率が高くなります。解雇された従業員が多ければその分失業保険を受給する人が多くなりますので、失業保険事務所としてもたくさんの従業員を解雇している会社からより多くの税金を納めてもらうよう税率を高く設定します。

上記の例では税率1%を用いましたが、仮に7%という高い税率の会社(大勢の従業員を解雇している会社)であれば7倍の$90,720という高額な税金となりますのでできるだけ税率が高くならないように会社として適正な人材を採用するといった対策が望まれます。ただ事情により解雇しなければならないこともあるため、実際に解雇件数を減らすことは難しいかもしれません。ただ稀に自己都合により退職した従業員が失業保険を申請することがありますので、その際には失業保険事務所に、退職した従業員は自己都合による退職であり、失業保険を受給できないことを伝えることで税率の上昇を回避することが可能です。

イリノイ州が各企業から徴収した失業保険税は2018年7月から2021年6月までの3年間で$5,029,079,766である一方で、失業中の受給者に支払った給付金は約2倍の$10,797,488と大きな赤字を抱えています。失業保険税率は毎年上昇が続いていますが、赤字状態が続くようであれば更なる上昇が今後予想されますので企業にとって失業保険税率を下げる対策を練ることがより重要と考えます。