史上最大の2 兆2000ドル(約220兆円)のアメリカ経済救済Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act (以下CARES ACT)が2020年3月27日に成立しました。

この救済法は、ローンの債務免除、小規模ビジネスへのサポート、失業保険の補強、新型コロナウイルスでかなりの痛手を負った業種への連邦政府の貸付け等が盛り込まれています。それに加え、個人や法人に対して税金面での緩和措置やインセンティブも含まれています。具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう。

=個人税=

Recovery Rebate(リカバリーリベート)

2020年の税金に対して$1,200(夫婦合算申告の場合 $2,400)の税額控除が追加されます。また、子供一人に対し$500の税額控除が可能です。このリベートの適用が可能となるのは、確定申告書調整後所得が$75,000(独身)、$112,500(特定世帯主)、$150,000(夫婦合算)を超えない納税者が対象で、所得金額をこの金額を超えると、$100超えるごとに$5税額控除額が減額されます。ですので、調整後所得が$99,000(独身)、$136,500(特定世帯主)、$198,000(夫婦合算)を超える場合は、こちらの税額控除の適用となりません。

このリカバリーリベートは、下記の条件がすべてに当てはまる方のみとなります。

1) 米国居住者である。2) 他の納税者の扶養家族となっていない。3) EstateやTrustではない。4) 社会保障番号がある。

Retirement Plan(年金プラン)

新型コロナウイルス関係で適格年金プランより上限$100,000を引き出す場合、通常59.5歳より前に年金を引き出すとかかる10%のペナルティーを撤廃しました。新型コロナウイルス関係での引き出しとは、暦年2020年に新型コロナウイルス感染されたとCDCが承認したテストにて診断された個人の為に引き出したもの、もしくは、新型コロナウイルスの為に会社が一時営業停止になったり、解雇されたり、勤務時間が減らされたりして金銭的に厳しくなった人の為に引き出されたものです。この早期引き出しにかかる税金は、3年間にわたり納税することができ、3年以内に、引き出したお金をもう一度もとの年金プランへ入れ戻すこともできます。

Charitable Contributions(寄付)

通常、寄付は項目別控除対象項目なので、基礎控除額が項目別控除額を上回る場合、控除とならなかったのですが、2020年の確定申告では、上限$300まで項目別控除とは別に所得控除となります。また、通常は項目別控除での寄付控除額は調整後所得の50%までしか控除が認められていないのですが、この50%の枠が排除され、2020年の申告では無制限に寄付控除が取れるようになります。法人税に関しましては、寄付控除は通常、課税対象所得の10%までしか控除できませんが、その枠が25%までに引き上げられました。また、食糧倉庫への寄付は、通常、調整後所得の15%が控除の上限となっていましたが、その上限枠が25%に引き上げられました。

Student Loans Paid by Employers(雇用主より支払われた学資ローン)

雇用主が従業員の学資ローンを支払った場合、上限$5,250までは従業員の所得としなくてよくなります。この場合の学資ローンは、従業員のための学資ローンでなければならず、従業員の子供等の学資ローンは対象となりません。対象となるローンの支払いは、この法案が施行された日から2020年内に支払われたローンの支払いとなります。

Federal Student Loan(連邦学資ローン)

2020年9月30日までの連邦学資ローンの支払いは、無利子で支払い猶予が与えられます。

=法人税=

Employee Retention Credit(従業員を雇用し続ける為の税額控除

一定の条件を満たした企業は、ビジネスオペレーションの一部もしくは全面休止に伴い仕事ができない従業員に支払う給与、または売上が激減した場合(50%以下に激減)に従業員に支払われる給与の50%を四半期ごとの給与税申告書上で税額控除を適用することができます。税額控除の年間の給与上限額は従業員一人につき$10,000です。すなわち、従業員一人あたりの控除上限額は、$5,000です。この税額控除は、2020年3月12日から2020年12月31日までに支払われた給与が対象となります。この税額控除が適用になるためには、様々な適用条件があるので、お確かめください。また、CARES ACTローン債務免除を受ける企業は、このEmployee Retention Creditの免除は適用されません。また、給与税税額控除(下記参照)を適用した給与はこのEmployee Retention Credit対象となる給与には含まれません。

Payroll Tax Deferral(給与税支払い猶予)

企業のキャッシュフローを助けるために、このCARES ACTが施行された日より2020年12月31日までの給与税の支払いは、2021年12月31日までに半分、2022年12月31日までにもう半分を支払えばいいことになります。対象となる給与税は、企業の場合100%、個人事業主の場合50%の給与税が対象となります。

Payroll Tax Credit(給与税税額控除)

こちらは、今回のCARES ACTからのものではなく、3月18日に施行されたFamilies First Coronavirus Response Actからですが、適用となる従業員に病欠として支払った金額の一日の上限$511で、10日間の合計$5,110が給与税申告書で税額控除とすることができます。また、家族の看病等により欠勤となった従業員への給与支払いの一日の上限$200、合計$10,000または50日間のどちらか少ない方を上限として、給与税申告書で税額控除を申請することができます。

Net Operating Losses(欠損金)

2018年、2019年、2020年に発生した欠損金は、5年遡って還付請求ができます。昨年の大型税制改正により、2017年以降に発生した欠損金の繰り戻しは廃止され、繰越欠損金は課税対象所得の80%までしか適用にならないとされたのですが、2021年1月1日以前に発生した欠損金に関しては、この課税対象所得の80%までしか適用にならないという文言も撤廃しました。

個人事業主の事業からの欠損金は$250,000($500,000夫婦合算)までと上限がございましたが、この上限は2021年まで適用とならないこととなりました。

Minimum Tax Credits(ミニマム税税額控除)

税制改正により、法人に対する代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax:AMT)が撤廃されました。それに伴い、以前支払った代替ミニマム税は、税額控除として残額の50%ずつを5年間で控除し、使い切るという事になっておりました。CARES ACTでは、全額を2019年に税額控除適用としました。また、企業の選択により2018年でも全額税額控除を申請することができます。

Business Interest Expense Limitation(利息支払い損金算入のリミット)

税制改正により、2017年以降の利息支払いは、利息収入と調整後課税対象所得の30%の合計額より大きい場合は、損金不算入となりました。対象となる企業は、過去3年の平均総収入が一定金額以上(2020年ですと$26ミリオン)の企業となります。CARES ACTでは、2019年と2020年は、この30%の調整後課税対象所得の金額を50%まで引き上げました。また、2020年の計算をする際に、2019年調整後課税所得を使用することも可能としました。

Qualified Improvement Property

税制改正のグリッチにより、Qualified Improvement Propertyの償却期間が15年から39年になってしまい、これに対する修正案が出されるはずだったのですが、今まで出されず、CARES ACTにより、修正がなされQualified Improvement Propertyは15年償却が可能になり、ボーナス償却が適用になり、100%一括償却が可能になります。Qualified Improvement Propertyとは、例えば、事務所を借りていて、その事務所の内装をリフォームされた費用等となります。

実際のCARES ACTは約800ページ以上のもので、ここに載せたものは税金に関わる項目のサマリーです。

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新型コロナウイルスが猛威を振るい、緊迫した状況が続く中、不安がつのる一方ではありますが、皆様の不安を少しでも和らげられるお手伝いをしたいと従業員一同常に考えております。

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