Author | Tomoko Nakao
12月決算の企業では、すでに半年が経過し、年次決算まで残り半年となりました。多くの企業では、年度末のみ財務諸表監査やレビューを受けているかもしれませんが、「半期での財務諸表レビュー」を検討されたことはありますか?
実は、年次決算だけでなく、半期でもレビューを受けることで得られるメリットは多くあります。今回は、半期レビューを行うことで企業にどのような便益があるのかをご紹介します。
財務諸表レビューとは?
まず、「財務諸表レビュー」とは何かについてご説明します。
レビューは、監査ほど詳細な手続きは行いませんが、独立した公認会計士が会計に関する質問や財務諸表の分析を通じて、重大な虚偽記載がないかを限定的に確認する手続きです。監査が「合理的な保証」を提供するのに対し、レビューは「限定的な保証」を提供します。
また、レビューは監査と比べて費用が抑えられ、所要時間も短いという利点があります。
実施される主なレビュー手続きは下記となります。
- 経営者や経理担当者への質問
- 財務諸表や補助資料の分析(異常値や変動の分析)
- 異常が見つかった場合の追加質問・調査
- 一般に公正妥当と認められた会計原則への適合性の確認
半期でレビューを受けることのメリット
それでは、なぜ年度末だけでなく半期のタイミングでレビューを受けることが企業にとって有益なのでしょうか?主な理由は以下の通りです。
- 年次決算時の負担を軽減できる
半期レビューで会計上の誤りや処理の不備を早期に発見することで、年次決算時の修正や対応の負担を減らすことができます。
例:レビューにより売れ行きの悪い在庫が判明し、販売見込みも低いため、半期のうちに処分を実施。その結果、滞留在庫を数える必要がなく、年末の棚卸業務が効率化され、師走の繁忙期に不要な在庫処理に追われずに済むようになります。
2)新規・複雑な取引に早期対応できる
新たに開始された取引や、複雑な会計処理を伴う取引がある場合、半期の段階でレビューを受けることで、正しい会計処理が行われているかを確認できます。これにより、万一誤りがあっても期中で修正し、正しい方法で年度末を迎えることができます。期末で大きな監査調整が入り、財務諸表の数字が大幅に変わるような事態も回避できます。
3)親会社への信頼性ある報告が可能に
親会社が日本の上場企業である場合、半期の財務情報の信頼性は非常に重視されます。第三者である公認会計士によるレビューを受けることで、親会社に対する報告の信頼性が向上します。
4)予算修正や経営判断の迅速化
半期レビューで重要な誤りが発見されると、予算や事業計画の見直しを早期に行うことができます。
例:半期レビューで売上計上方法の誤りが判明し、売上金額が大きく修正された場合、下半期以降の売上予測や計画も修正が必要となります。これにより、期末を待たずに、来年度の事業計画を前倒しする、などの的確な経営判断を下すことが可能になります。
最後に
このように、半期レビューを実施することには多くのメリットがあります。
CDH会計事務所では、財務諸表レビューに関するサービスを提供しております。ご関心のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
📩 お問い合わせ:中尾倫子([email protected])