WEPとはWindfall Elimination Provisionの略です。日本での年金受給をソーシャルセキュリティ(以下“SS”)の申し込みの際に報告すると通常もらえるはずのソーシャルセキュリティの金額が減額されてしまうアメリカの制度です。減額の額は海外の年金額の50%を超えないようにと規定されておりますので、毎月数百ドルくらい減額されるようです。(この5割までの制限をWEP Guarantee Provisionと呼びます。)WEPはSS受給の申し込みの際に海外の年金をもらっているかと聞かれ、その年金の内容を話し、証拠書類を出してWEPが適用されるか否かが判定されます。

 

1. 国民年金はWEPの対象外か?

日本の年金は厚生年金と国民年金というふたつの制度で成り立っていると思います。多くの国では日本と同様にふたつの制度で年金制度ができています。そして、WEPの規制に関しては以下の国が日本の国民年金に似た制度(個人のEarningsに関係なく拠出される)をWEPから除外しています。それはオーストラリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、オランダ、ノルウェーとスエーデンです。(参考文献 GN 00307.290 SS)―米国政府のRegulationの一部です。

筆者は国民年金はこの範疇に入ると思います。上記の参考文献ではその国(つまり日本)が年金の性格に関してAward NoticeかLetterを出してあればWEPから外すべきであると述べています。また同時に審査官は、年金の内容をよく申請者(つまり読者)から聞いて判断するようにと指示がされております。(GN 00307.290)

厚生年金はもちろんWEPの対象です。

2、SS申し込み時には日本の年金をもらっていないようにするのは有効か?

さてSSの申し込みの際に日本の年金をもらっていなければWEPの対象にはなりません。しかし残念ですが、その時点以降から日本の年金をもらった場合は、SSオフィスに連絡しないといけないとう規定になっております。(SSA Pub. No. 05-10137, Page 11)おそらくその際にWEPが適用されることになります。

3、日本の年金申し込みの注意点

さて、日本の年金の申し込みです。これも実は海外在住期間が長ければ長いほど複雑になり、難しくなります。例をあげましょう。

      • 日本の年金をもらうにはいわゆるカラ期間の証明をしないといけません。その証明方法が複数あります。そのなかで一番良い方法を選ばないといけない。
      • 振込先を決めないといけない―米国の口座か日本の口座か? 振り込みの手数料は?
      • 年金の金額により源泉の必要がある

このようにまだアメリカに本拠を持つ皆様には難しい問題ばかりです。最悪のケースは何度も日米を往復しないといけないかもしれません。そんな無駄を省くために、日本の年金申し込みの代行してくれる方がおります。ご希望の方はご紹介差し上げます。

4、日本の年金で忘れてはいけない点

(1)米国籍を取られていてももらえます。

(2)10年以上や、25年以上日本で働いていなくても、若いころ数年でも日本で働いていれば、いまは社会保障協定などを利用してもらえます。けっしてあきらめないでください。

 

日本で老後を過ごすにしても、米国で過ごすにしても年金、SSは大切な退職の基金になります。ぜひいまからしっかりプランをして退職時にあるいは帰国時にそなえましょう。どんなプランにされたいのかについてもCDHではご相談できますので、お気軽にお声をかけてください。連絡先:藤本光、[email protected]    電話番号 (630) 228-8229

(注)この文章は、筆者が現時点で正しいと思われる情報を記事に分かりやすく要約したものです。あくまで読者の参考にして書かれた文章であるために、実際のルールの適用は必ず読者の信頼される税務の専門家と相談の上行ってください。この文章は税法の解説を目的としたものではなく、あくまで読者の注意を喚起するのが目的で作成されました。