米国に銀行口座や投資口座を残したまま日本へ帰国される方もいらっしゃると思います。帰国されてもグリーンカードを放棄するまで移民法上も税法上も米国居住者として金利や配当を米国に申告しなければなりません。一方、日本でも米国グリーンカードを持たれている日本国籍の方が帰国されると、米国からの収入として日本でも確定申告をしなければなりません。

1.グリーンカードを放棄するまでの金利・配当の申告

日本に帰国してもグリーンカードを放棄するまでは米国居住者として米国での確定申告を続けなければなりません。もちろん日本帰国後に日本で発生した金利や配当、稼得収入も米国に申告しなければなりません。

<注意>

  • よく日本で支払われた年金は日本のものだから米国で申告する必要はないと誤解されている方がいらっしゃいます。
  • また米国から支払われたソーシャルセキュリティは米国のものでグリーンカードを放棄したら日本で申告する必要はないと思われている方もいらっしゃいます。

それは間違いです。

日本居住者は米国からのソーシャルセキュリティや年金、金利や配当など全世界での収入を日本で申告しなければなりません。また日本に住んでいるグリーンカード保持者も米国居住者と同様に全ての収入を米国で申告しなければなりません。

2.グリーンカード放棄後の金利・配当の申告

グリーンカードを放棄した後は米国非居住者となるため、米国源泉の稼得収入がなければ米国での確定申告は必要なくなります。

 

W-8BENの送付>

グリーンカードを放棄するとW-8BENを作成して金融機関に送付します。このFormは日米租税条約による源泉徴収税の軽減を申告するものです。

参考:W-8BEN

https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-w-8-ben

<金利>

日米租税条約第11条では金利を受け取る居住者の居住国課税を規定しています。つまり米国から帰国し日本居住者となられた方が米国から受け取る金利は、米国ではなく日本で課税されること居なります。

  • W-8BENを提出すれば金融機関から非居住者に対する支払いを証明するForm 1042-Sが発行されます。

 

もし提出を怠ると金融機関からForm 1099-INTが送付され、コピーもIRSに提出されてしまうので、確定申告の期日を過ぎてしばらく経つとIRSから申告するよう催促の通知を受け取ることになってしまいます。

  • その場合はForm 1040NRにForm 8833を添付して日米租税条約のポジションをとり、Schedule NECをつけて申告することになります。
  • 米国での所得税は課せられません。

 

<配当>

日本居住者が米国法人から支払われる配当を受け取る場合、日米租税条約第10条の規定により10%の源泉地課税となります。しかしW-8BENを提出して源泉徴収税の軽減を申請しないと、米国非居住者に対しては30%との源泉徴収となり、30%源泉徴収後の配当金が振り込まれることになります。

  • 日本でこの配当金を収入として申告する際に、源泉徴収された税金は外国税額控除を申請します。
  • もしくは上記の金利の場合と同様にForm 1040NRで米国に還付請求をすることになります。

 

3.<グリーンカード放棄年度の確定申告書>

Dual Status Return(二重身分)での申告書を作成します。

  • 放棄年度の12月31日時点では非居住者のためFormは1040NRが基本となります。
  • 放棄日までの全世界の収入をForm 1040(Statement)で申告し、それ以降に米国源泉の稼得収入があればForm 1040NRで申告します。
  • Form 1040NRでは一般控除が取れないため収入の殆どが課税対象となってしまいます。
  • また夫婦別々の申告となるため、どちらかに収入が偏っているとTax dueが発生してしまう可能性があります。

 

参考:Dual Status Individuals

https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/dual-status-individuals

 

参考:Publication 519, U.S. Tax Guide for Aliens

https://www.irs.gov/publications/p519

 

以上

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記よりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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