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401(k)の引き出しは、帰国時のステータスにより税務申告の煩雑さが変わります。この煩雑さの観点から、どんなステータスで引き出しをするのが得なのかを検討するのがこの記事の目的です。

  • ビザおよびグリーンカード保持期間が8年未満の場合

Eビザ、Hビザ、Lビザ等の永住権、市民権以外のステータスで米国に滞在された後で、日本に帰国された方と、グリーンカードの保持期間が8年未満の方が、帰国後に永住権を放棄されたケースは、401(k)引出において1番得なケースと言えます。(このポイントの注意点は、グリーンカードの保持期間は、1年のうち、1日でも永住権を保持していたケースは、1年と計算される点です。詳しくは、税務の専門家にご相談ください。)

これらの方は、帰国後にForm W-8BENを401(k)の金融機関に提出すると、日米租税条約により、米国での源泉はゼロになり、居住国の日本のみでの課税になります。米国での申告の必要がなくなります。まれに金融機関が租税条約を無視して、源泉をした場合でも、米国に非居住者として税務申告を行うことで、源泉金額全額を取り戻すことができます。

  • グリーンカード保持期間が8年以上の場合

永住権を維持しながらの日本滞在期間は、日米からの二重課税が発生します。日米両国に税務申告を行います。その際に外国税額控除を使い、日米どちらからの申告書でこの外国税額控除を使用します。(I-407を提出しても、米国の税務上ではまだ米国居住者ですので、この点も注意しましょう。こちらは会計士としっかり相談してください。)永住権を日本に滞在しながら長い期間を維持するのは難しいと思いますので、放棄に至るかたが多いと思います。放棄された場合のケースについて説明します。

帰国後に永住権の放棄をされれば、1のケースと同じになり、米国での課税を避けることができます。しかし個人純資産が$2ミリオンを超えるような個人の場合は、出国税の課税対象になり得るCovered Expatriateになります。Covered Expatriateの401(k)の引き出しは、選択をしない限り出国時に残高全額に対して、通常の所得税率で課税されます。ある種の選択を規則通りにタイムリーに行えば、引き出し時に30%の源泉を受けることができます。つまり税金を引き出し時まで繰り延べすることが許されています。また401(k)の残高が残っている場合は、そのための税務フォーム(Form 8854)を毎年IRSに提出しないといけません。

要点をまとめると、8年以上永住権を保持していた方でも、放棄を行い、Covered Expatriateにならなければ、1のケースと同じで、W-8BENを提出するだけで米国の課税を避けることができます。Covered Expatriateになられた方は残念ですが、そういうわけにはいきません。

  • 米国籍で帰国

米国籍で帰国された方の多くは、米国籍の放棄を行わないと思います。米国籍の放棄のまえに日本の国籍を取得しないといけないからです。米国籍の放棄を行わないのであれば、日米からの二重課税が発生して、外国税額控除を使用する2のパターンと同じになります。米国籍を放棄される場合は、2のCovered Expatriateの記述を参照してください。全く同じです。

日本に帰国される外国籍の方には、日本以外の海外所得は日本に送金しない限り5年間は、日本では課税されないという優遇策があるそうです。こちらは日本の資格を持つ会計士・税理士の方にご相談してください。

  • 最後に

59.5歳以前に引き出した場合は、10パーセントのペナルティが課せられます。また、米国の多くの金融機関は、海外の銀行口座に401(k)の引き出しの送金をしてくれません。これら2点は、上記の1,2,3のケースすべてに該当しますので、留意してください。この記事の1から4までのポイントをよく考えられたうえで、401(k)について考えてください。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記よりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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