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米国の企業に雇用されていて、米国外で一定期間のリモートワークをされる場合のTaxに関する留意点を説明します。一定期間とは、各国の税制で違いがあるからで、数日などの短期間のリモートワークではなく、半年、一年などの期間を意味すると想定してください。

国際間のリモートワークでのTaxの留意点は大きく3点に整理できます。それは、所得税の二重課税、社会保障に主に使用される税金の二重払い、最後に雇用主の外国での恒久的施設(Permanent Establishment)の問題です。

  • 所得税の二重課税について

米国永住権者あるいは米国市民権を保有している場合は、世界のどの地域にいても米国の税務上の居住者です。したがってリモートワークをしている国でその国から課税された場合は、両国から課税される可能性が出てきます。このリスクを想定するべきです。リモートワークをする国の税務の専門家に、事前に自身のケースでは課税されるのかを確認しましょう。E,H,Lなどのビザをお持ちの方もリモートワークをする場合は、確認することを推奨します。

二重課税の対応策はあります。米国税務上では、ふたつの方策が用意されています。Foreign Earned Income Exclusion制度では、2023年度では一定の要件を満たす場合は、$120,000までは外国の労務所得を自身の課税所得から除外できます。また外国税額控除(Foreign Tax Credit)では、外国で支払った税額を米国の税額と相殺できる制度もあります。一方の外国、例えば日本では、外国税額控除の制度もあります。ただ、二重に支払った税金が100%消去できると、安易に考えるのは間違いです。ルールの適用上で完全に消去できない場合も多くありますので、注意しましょう。

  • 社会保障税の二重払いについて

所得税同様に社会保障税の二重払いの問題も意識しないといけません。社会保障税の定義は国により違うと思います。主に社会保障に使われる税金一般と、この記事では意味していると理解ください。米国ではソーシャルセキュリティや、Self-employment Tax、日本を考えた場合には、厚生年金、国民年金などが該当します。二重払いが発生するか、否かは現地の専門家に確認するのは必要になります。また米国は30あまりの国と社会保障に関する協定があります。[1] これらの協定により、二重払いを防ぐ制度が決まっています。こちらも参考にしないといけません。

米国特有のルールとして、従業員(Employee)として扱われるのか、個人営業者(Independent Contractor)として扱われる場合に、社会保障関係の税金を支払う義務が雇用主になるか、自身になるかが変わってきます。この点も重要事項です。特に個人営業者の場合は、義務は個人になります。注意しましょう。

  • 恒久的施設(PE)について

USのEmployer(雇用主)が被るリスクとして、恒久的施設があります。税務上のコンセプトで、英語では、Permanent Establishmentと称されます。リモートワークを行っている国の税務当局としては、USのEmployerが、その国で課税対象になるビジネスを行っているのか、あるいは報告義務がある登録をすべきかを確認しないといけません。例えば、米国の会社の従業員が、日本で勤務をしている場合は、日本にその米国の会社の支店や、子会社があるのではと想定されるわけです。日本の税法上で恒久的施設のルールは、ウェッブサイトでも検索できます。[2] それぞれの国で、どんな条件を満たせば恒久的施設になるかは、税法で規定されているはずです。読者がリモートワークを開始する前に、雇用主のリスクも雇用主に調査をすべきであると忠告するのも、親切な行為だと思います。

このように外国におけるリモートワークには、事前に注意をしないといけない点が3点あります。準備・調査をしっかりされて、計画するようにしましょう。

[1] https://www.ssa.gov/international/agreements_overview.html

[2] https://taxsummaries.pwc.com/japan/corporate/corporate-residence

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記よりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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