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プロベートという言葉を聞かれたことある人もいるでしょう。プロベートとは、日本語で遺産検認作業と言います。今回は、このプロベートを避ける方法について説明します。参考にさせていただいた本は、酒井ひとみ弁護士が書かれた章ですが、本の題名は、「財産を減らさない分散管理のポイント100」財経詳報社です。わかりやすく書かれた名著だと思います。ぜひご購入してみてください。

  • プロベートがどうして大変なのか?

酒井先生は以下のようにまとめています。

  • 時間がかかる
  • 弁護士費用などの費用が高額化する
  • 自身のプライバシーが確保できない
  • 財産の利用・処分が制限される
  • 財産が複数の地域にまたがる場合は、さらに複雑になる

筆者が米国のプロベートを意識して、追加をするとしたら、下記の点になります。往々にして、日本の相続手続きが米国より早く進みます。日本の相続税の支払いをしたい場合に、このプロベートのプロセスがまだ終了していない場合は、米国の資産を処分できませんので、米国資産の現金化ができません。その結果、日本の相続税の支払いができないという事態になってしまいます。このような見地からもプロベートは避ける必要があります。さらに、もちろん英語でこのプロセスは進みますので、英語を使うことが得意でない人には、かなり厳しいプロセスになります。フラストレーションが溜まり、費用も高額化します。

  • プロベートを避ける方法
  • プロベートの対象にならない少額金額しか保有しない
  • 法人名義での所有
  • 財産の共有名義化
  • 受取人指定
  • 信託利用

坂井弁護士は、このようにまとめられています。米国税務の見地から加える点があるとすると以下になります。プロベートの対象にならない金額は、かなり低いので、ほとんどの方は、プロベートにかかってしまいます。次に法人名義ですが、日本の会社で米国の資産を持ち、株主が米国の居住者である場合にはギルティ税という非常に厳しい税金の制度があり、不動産を購入しただけで、米国で株主の所得扱いにされて、課税されるケースがあります。特に所有持ち分が多い場合は、気を付けないといけません。必ず米国税務の専門家とご相談ください。

次に財産の共有名義化ですが、米国の場合は、不動産と動産では少し扱いが違いますが、共有名義にした時点では贈与と見なされない場合が多いのですが、その資産を処分した場合や、口座から引き出した場合には、資産購入の資金を拠出していない人が、米国では贈与を受けたと見なされるケースが殆どです。米国にある資産が米国の非居住者からの贈与であった場合は、高額の贈与税が取られるリスクが大です。筆者は、米国居住者である夫婦の方の共有名義以外は、お勧めしません。

受取人指定ができるのは、特定の資産に限られます。例えば401(k)などです。酒井弁護士も本のなかで言及しておりますが、米国非居住者の方がこの受取人指定を利用できるか否かも事前に確認しないといけません。

最後に、米国非居住者になっても信託の受託者(Trustee)でいることができるのか、また外国信託と米国連邦税法上で認識されないかも事前のチェック事項です。ぜひお気をつけください。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

なおYouTubeでも内容を説明しています。「CDHクロスボーダーファミリーチャンネル」で検索してみてください。また週日夜11時、週末も数時間ほど35分の無料相談も行っています。こちらのリンクからご予約ください。メールでのご質問は、面会させていただいてお答えしております。https://outlook.office365.com/owa/calendar/[email protected]/bookings/

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