知ってて得する永住権としての知識

米国の出国税には3つのステップがあります。(3)に行かない場合は税金は発生しません。ここをしっかり理解してください。逆に(3)に到達する人は、慎重に計画する必要がございます。

1. 過去15年間で8年以上永住権を保持していた。(注:一年のなかで一日でも永住権保持をしていた場合は一年と数えます)7年までしか保持していなかった人は出国税はかかりません。8年以上保持していた方は、Long-term residents (LTR)と呼ばれ、(2)に行きます。

2.  ひとつでも条件をクリアする人をCovered Expatriate と呼ばれ、(3)に行きます。

  • 放棄時に全世界の純資産が200万ドルを超えている場合。401(k)も IRAも計算に入れて200万ドルを超えていたかを判定します。
  • 過去5年間の連邦税の所得税額が平均で$168,000を超えている場合(2019年度の金額)
  • 過去5年間で連邦税のルールを順守していたと宣言できない人(例えば、外国の金融口座を開示していなかった人などはこちらに該当します。)

この3つの条件のどれにも当てはまらない人は出国税の対象になりません。

3.  出国税がかかるか、かからないかを計算―(2)でCovered Expatriateになった場合は、以下が該当します。

  • 放棄時の全世界の純資産を計算します。この資産が放棄時に売却されたと仮定して原価との差額を算出してキャピタルゲインを計算します。そして2019年度ではこのゲインから$725,000(2019年度の金額)を控除できます。つまりゲインの$725,000は非課税です。
  • 401(k) – Covered Expatriateになった場合は、W-8CEというフォームを提出して日米租税条約の特典である源泉税0%を失います。この結果、401(k)のDistributionを受ける場合は、30%の源泉を米国政府にしないといけません。その代わり401(k)は、a. のキャピタルゲインの計算に含める必要はありません。
  • IRA – IRAは、放棄時に全額受け取ったと仮定して、永住権を放棄する年の税務申告(Form 1040)に全額所得として申告して税金を支払います。こちらも上記同様にキャピタルゲインの計算に含める必要はありません。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

なおこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] (630) 253-0215