2022年5月7日に、一日早くフライングして、国務省から2023年度の永住権抽選プログラムの結果発表がありました。この発表は、去年2021年の秋の応募期間中に申し込んだ人に対する結果発表です。アメリカの永住権の当選確率は1パーセントといわれていますので、ドキドキですね。日本からは毎年3万人~5万人が応募しているようです。

当選結果は、アメリカ国務省のウェブサイトで確認します。ご自分の確認番号や苗字などを入れてSubmitボタンをクリックすると結果が出ます。全世界から2,000万人以上が応募しますので、初日のウェブサイトはサーバーがダウンしたり、反応が遅くなかなか結果を見られないこともあるようです。結果は、合格!ように大きな文字でもなく、文章として示されるので、クリック後の一瞬の沈黙後、くじに当たったことが分かった瞬間は、恐らく、二度読みしてしまうのでないでしょうか?

1.合格の道は険しい?

当選したからといって確実にグリーンカードが手に入るのかというと、そういうわけではありません。約50,000人がグリーンカードを受け取ることができますが、実際の当選人数はその倍といわれています。なぜならば、基準が厳しい必要書類がたくさんある手続きの時間的制約が厳しいなどの点から脱落する数が見込まれているからです。そして、当選すると番号が割り振られ、番号の若い順に手続きチャンスが与えられるので、自分よりも若い番号の人が関門を突破すれば徐々に50,000人枠が狭くなっていく仕組みなのです。ですから、たとえ宝くじのようなものあっても、この「DV移民多様化ビザ抽選プログラム」の仕組みをよく理解し、幸運にも自分の順番が回ってきたときには、すぐに動けるよう、国務省の指示に従い、間違いなく手続きを実行していくことが大切といえるでしょう。

2.締め切り日がたくさん

特に、前述の、「手続きの時間的制約が厳しい」について言及します。

当選者は、当選発表後、次の関門である永住ビザのオンライン申請手続き(DS-260)をしたうえで、健康診断等の書類審査、アメリカ大使館での面接へと進みます。この関門を突破し無事に合格すれば、永住ビザが発給されるのですが、ここまでのステップはすべて国務省の定めた「締め切り日」付きです。自分の番号がその締切日ギリギリに回ってきたことを想定して、あせらず物事を円滑に進めなければならないでしょう。

こうして難関を突破すると、永住ビザが発給されますが、そこでホッとできるのもつかの間。また次の「締め切り日」が登場します。当然ながら、このビザはアメリカに永住するために発給されたものですので、持ったまま日本に居続けることができません。合格者はアメリカへ渡らなければならないのです。この期限は通常6か月といわれています。最終関門は、アメリカにて。入国のイミグレーションです。別室へ連れていかれ、面接を受け、ここで押してもらうスタンプがゴールです。このスタンプにより、永住ビザがアクティベートされ、晴れてUS Personのステータスがスタートです。

3.確定申告が待っている

移民法的にはここで落ち着けるかもしれません。しかし、アメリカの税法的には、次なる「締め切り日」が追加されます。

ある4人家族が、アメリカ入国し、イミグレーションでパケットを出して面接を受け、無事にスタンプを押してもらい、グリーンカードをアクティベートにした後、数日間の楽しい滞在を経て日本に戻り、本移住の準備を進めたとしましょう。既にご家族全員がグリーンカードホルダー、US Personになっています。

この状態で、その年を越したとすれば、この年のアメリカ確定申告が必要になります。例えば、2021年にアメリカ入国した場合、翌年の春(2022年の4月あるいは6月)が、2021年度のアメリカ確定申告の締め切り日でした。

2022年にアメリカ入国を予定しているご家族は、2022年度のアメリカ確定申告の締め切りは2023年の4月あるいは6月ですので、これもTo Do Listに入れておくことがよいでしょう。アメリカの確定申告には日本の給与所得も入れますし、日本で贈与・相続が発生した場合も関わります。また、申告には、日本を含めた全世界に保有している金融資産の報告義務も含まれます。ご家族全員が、日本に銀行口座や証券口座などを保有している場合、いちねんの合計額が$10,000を超えていれば、お子さんであってもへ報告しなければなりません。

お子様のおじいちゃんおばあちゃんが、毎年少しずつ孫の名義で積立貯金をしてくれている、節税対策で、今年、教育資金の一括贈与をしてくれる予定がある、ご自身の親御さんが住宅取得等資金贈与をしてくれる予定がある、といったときにも注意が必要ですので、最初の年の確定申告はこのようなプランニングや税務申告について専門家に相談してください。

参考文献: https://travel.state.gov/content/travel/en/us-visas/immigrate/diversity-visa-program-entry/diversity-visa-instructions.html

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