今年2022年の日本の年末ジャンボ宝くじ(第945回全国自治宝くじ)は、1等と前後賞合わせてドーンと10億円です。1等だけでも7億円で、23本も当選します。発売期間は11月22日~12月23日まで。この記事が出る頃は、まだ発売期間中ですね。抽せん会は、東京オペラシティ・コンサートホールにて。大晦日12月31日に、オーケストラの年末特別コンサートと共に開催される、一大イベントのようです。新年を迎えるのによい企画ですね。

さて、この10億円の宝くじに、グリーンカード保持者が当たったらどうなるのでしょう?どのように受け取り、どのように課税されるのでしょうか?

1.宝くじの受取り方法

まずは、この東京オペラシティ・コンサートホールで当選者が発表されたときのことを思い浮かべてみましょう。この“当せん金付きの債権“は、支払い開始日(抽せん日の翌日)から一年で時効となるので、早めに受け取りに行かなくてはなりません。アメリカ居住者の方は計画的に。受取場所は、「みずほ銀行」です。本人確認書類(運転免許所や健康保険証など)や印鑑が必要になります。日本非居住者で銀行口座などを持っていない人は、この点で受け取り手続きのハードルが上がるかもしれません。

2.宝くじの当せん金は日本では非課税所得

晴れて受け取ります。当せん金は、日本で所得として課税されるのでしょうか?答えはNOです。宝くじ(当せん金付証票)の当せん金は日本では非課税で、所得税や住民税を支払わなくてもよいのです。先に言うと、アメリカでは完全に所得扱いです。しかし、日本には「当せん金付証票法(通称「宝くじ法」)という法律があり、宝くじは当選の有無にかかわらず購入代金の一部がすでに源泉徴収されているため、当選者に所得税を課してしまうと二重課税になってしまいますので、当せん金には税金がかからない仕組みになっているようです。

ということは、日本に住んでいてアメリカに何のかかわりもない日本人であれば、税金の心配をせずともよいのに、グリーンカードを持っている私の場合は話が違うかも?という考えが湧いてくると思います。

3.宝くじの当せん金はアメリカでは課税所得

前述しました通り、アメリカでは宝くじは所得扱いです。控除できる金額はあります、宝くじの購入金額までです。したがって、1万円で宝くじを購入して10億円当たった場合、単純にいうと9億9999万円相当が課税対象。よって、最高税率での税額計算となり、受取年のタックスリターンのためには、予定納税をしっかりしておかないとペナルティ額も大変に辛くなります。

さらに、日本でこれだけの金融資産額を保有しますので、米国外金融資産報告としてFBARやForm 8938での報告も必要になります。そのまま銀行に預けておけば利息額、運用すれば配当金などを所得としてタックスリターンで報告する必要が出るでしょう。

予定納税のためのまとまった金額がアメリカにない場合、この当せん金をアメリカに海外送金したいと思うかもしれません。その場合は、ご自分名義の日本の口座から、アメリカの自分名義の口座に送金するわけですが、自分名義間であっても、日本の居住者でない人が海外送金をする場合の手続きは複雑になっているようですし、昨今の円安の影響での為替レートを考慮する必要も出てくるでしょう。

4.日本の相続税とアメリカの生涯非課税枠

こうなると、なんだか日本人として日本に暮らしているだけのほうが、宝くじの税金という意味ではよいように思うかもしれません。確かに、日本で宝くじに高額当選すると所得税は払わなくてよいのですが、将来的にそれが相続という形でどなたかに資産移転される場合には、相続税という形で税金は徴収されます。しかも、日本の相続税率は各国と比べても最高税率の部類です。その点では、アメリカに資金を移動して、アメリカの生涯非課税枠を使えるステータスに合致すれば、たとえ初期にアメリカで所得税を徴収されたとしても、最終的な徴収額を比較するといかがでしょう、節税の可能性もあるかもしれません。

5.収益金の活用内容と社会貢献

最後に、年末ジャンボ宝くじの収益金がどのように活用されているかについてご紹介します。

宝くじは、販売総額のうち、賞金や経費などを除いた約40%が収益金として、販売元の都道府県及び20指定都市へ納められ、高齢化少子化対策、防災対策、公園整備、教育及び社会福祉施設の建設改修などに使われています。また、各都道府県指定都市は、自らの収益金の使途のPRを通じて、宝くじの社会貢献広報に努めています。

宝くじに当たらなかったとしても、その自分の購買行動は社会貢献につながっていると思えれば、当たらなくてもそんなに残念に思わないかもしれません?といっても、お金の使い過ぎには十分注意をしてください。※この記事は、宝くじ購入を促進するものではありません。

参考

https://www.takarakuji-official.jp/brand/jumbo/

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000144

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%93%E3%81%9B%E3%82%93%E9%87%91%E4%BB%98%E8%A8%BC%E7%A5%A8%E6%B3%95

記事に関するご質問、記事に取り上げてほしいというトピックがありましたら、Haller基江[email protected]まで。CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

CDH会計事務所クロスボーダーファミリープラクティスに関する情報は、https://www.cdhcpa.com/ja/personal-tax/ のページですべてアクセスできます。YouTube、Facebook、無料のオンラインでのコンサルテーション予約、遺産、永住権の放棄、出国税、Form 1040、税金シミュレーション、米国外金融資産報告などの分野ごとのオンライン質問フォーム、月次のニュースレターのサインアップなどがございます。ぜひお気軽にご利用ください。