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無実の配偶者の救済のためのフォームがIRSにはあります。今回の記事ではこのフォームについて説明したいと思います。[i] 内容については、IRSのFormのInstructionのページを参考にしました。

  • 夫婦合算申告
    この制度を理解するために必須な知識があります。それは米国の夫婦合算申告制度です。英語で、Married Filing Jointly (MFJ)と呼びます。既婚者が夫婦の所得を合算して申告する米国特有の制度です。ちなみに日本には、夫婦でも別々に申告ですので、この制度はありません。このMFJの基では、申告税額および追徴金、罰金、金利に夫婦で連帯責任を負うことになります。これを英語でjoint and several liabilityと言います。つまり夫婦で責任があるので、たとえ離婚しても、その年はMFJで申告していれば、IRSから税金の支払いを両方のもと配偶者が要求されるということです。また離婚協議書で、離婚した配偶者のどちらかが、税金を支払うと取り決めをしていても、この負債は変わりません。税務申告の上で、MFJは夫婦両名でサインをされる意味がこれでよくお分かりになったと思います。
  • Form 8857
    次にこのフォームの利用法について説明します。このフォームが使えるのが、片方の配偶者のみが税金の過少申告に責任がある場合。例えば、夫婦合算申告で申告したが、片方の配偶者の自営業の所得が$10,000申告漏れをしているのを、もう片方の配偶者がその事実を知らなかった場合です。もう片方の配偶者は、その事実をフォームで説明します。そして負債の減免をお願いします。その事実をIRSがUnfairであると判断してくれば場合は、該当する税金、利子、罰金をもう片方の配偶者の負債から免除してくれるわけです。申告期限は、IRSが回収を試みてから2年以内です。最後にMFJでのファイリングをしていなくても、コミュニティプロパティの州(カリフォルニア、アリゾナ、アイダホ、ルイジアナ、ネバダ、ニューメキシコ、テキサス、ワシントン、ウィスコンシン)では、このフォームを利用できます。
  • 最後に
    日本から結婚されて米国に暮らす人は数多いと思います。難しい税務申告のフォームを夫婦両名でサインをしますが、内容がわからないでめくらサインをされる人も多いと思います。夫婦円満であれば、問題もうまく解決するかもしれませんが、片方の配偶者が収入を隠していたり、忘れていた場合に、無実のあなたが損をそるのを少しでも避ける方法のひとつが、このフォームです。ぜひ、覚えておいていただきたいと思います。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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[i] https://www.irs.gov/instructions/i8857