在庫は会社の商品であり、ビジネスの要です。また、貸借対照表の科目の中でも金額が比較的大きく、大きな比重を占めるものです。在庫管理が正確に行われていないと在庫損失が発生し、会社に大きな損失をもたらす可能性があります。今回は在庫に関する内部統制、主に在庫管理業務とはどういうものか、について説明させていただきます。

在庫管理業務とは
在庫管理業務とは、購入した材料や商品の在庫分を、それらが使用または販売されるまでの間適切に管理、保存する業務です。短期間で入出荷され、扱う品種やその数も多くなるため、これらの業務が効果的・効率的に整備されていなければ、紛失・盗難・記録ミスなどが多発し、不良商品や滞留商品、過剰在庫などを多く抱え、企業の財政状態を悪化させる可能性が生じます。在庫管理業務で重要になるのは数量管理、価格管理、品質管理、盗難防止などです。下記が主な統制となります。

数量管理

  • 在庫入庫時には受領した在庫の数量が合っているかを確認し、正しい商品名、単価数量を記帳する。
  • 出荷担当者は出荷指示書に基づいて正しい商品と個数を出荷する手続きを行い、この情報は売上として記帳される。また出荷してから数日後に売上が計上されることが無いよう、タイムリーに社内の売上処理を行う。
  • 商品出荷時点で売上を計上する場合が多いと考えられるが、取引によっては顧客が商品を受領したタイミングで売上を計上する場合もある。その場合は顧客からの受領証を入手し、正しい商品と個数が顧客に届いたことを確認する。
  • 返品された商品の内容と数量を確認し、迅速に返品処理を行う。
  • 定期的に棚卸を行い、帳簿上の数量と棚卸した際の数量に大きな差異が発生していないかを確認する。差異が大きい場合は差異発生原因の追及を行う(数え間違えている可能性もある)。
  • 製造過程において異常仕損が発生していないかを検討し、異常仕損が発生している場合はその原因を追及し改善する。
  • 数量を持ちすぎている、または動きが鈍い滞留在庫がないかを定期的に検証する。滞留在庫については会社の方針に基づき滞留在庫引当金を計上する。

価格管理

  • 請求書に記載されている金額が、帳簿上、仕入れに際する正しい金額として記帳されているか(入力単価に間違いがないか)?
  • 在庫の帳簿価格は会社の評価方法に基づいて記帳されているか?(先入先出法、移動平均法、等)
  • 商品販売時に損失が発生する見込みはないか?損失が発生すると予想される場合、低価法のルールにより損失を計上する。
  • 商品別利益分析を行う。これにより利益が低い商品等を特定し、売値を増やす必要があるか等の検討を行うことができる。

品質管理

  • 陳腐化不良品等により販売や製造に使えなくなってしまった在庫がないかを定期的にチェックする。
  • 1の状況によっては在庫破棄を行う。在庫廃棄を行うに際して廃棄理由等を示した稟議書を作成し、承認を得る。
  • 製造業の場合、製品の品質チェックを行い、検査などによって、製品や製造工程が確かなものであることを検証する。基準に満たない製品は再製造し直すなどの対応を行う。

盗難防止

  • 在庫が保管してある倉庫は関係者以外立入ができないようになっている。また、入退室の記録を取ることが望ましい。
  • 倉庫や工場に監視カメラを設置し、防犯を行っている。
  • 棚卸で確認された数量と帳簿に記載されている数量とに大きな差異があった場合、従業員に盗難された可能性があることも考慮しながら差異検証を行う。

上記はすべてではありませんが在庫管理について考慮すべき重要事項となります。一度御社が行われておられる作業を見直してみるのはいかがでしょうか?在庫管理にご質問等ございましたらCDH会計事務所の中尾 [email protected] までお問い合わせください。