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両親が仕事で米国に駐在時に出生したため米国籍を持ちながら、日本に長い間住まわれていて、一度も米国の税務申告をされていない方は実は数多くおられます。米国の税務申告なんて聞いたことがない、でも最近になって、初めてその義務を知った。そんな人たちのために、IRSは2019年に救済措置を発表しています。英語名をRelief Procedures for Certain Former Citizens[i]と言います。今回はこの手続きについて説明します。

  • なぜ「救済措置」なのか?

税金、ペナルティ、利子など一切発生しない方法だからです。該当する方には作成費用以外はかからりません。米国市民の義務のひとつに税務申告の報告、海外金融資産の報告などの情報の開示義務などがあり、未報告には税金はもとより高額なペナルティが付帯されますが、この救済策では、その支払いが一切ありません。また、過去の海外金融口座の報告自体も免除されます。

  • 救済策の条件とプロセス

まず、米国の税務申告未提出が意図的ではなかった点が第一の要件になります。これを英語でNon-willfulと申します。過失、不注意、間違い、法律を誠実に理解しようとしていたが、誤解していた場合などが含まれます。この条件を満たした方に対して、次の6つの条件が課されています。

  • 市民権の放棄時に全世界の純資産が200万ドル以下
  • 市民権の放棄年の前の年から遡り5年間の平均連邦税額が$178,000以下(2022年に離脱する場合)
  • 過去に一度も米国居住者としてForm 1040をファイルしたことがない(Form 1040NRを間違えてファイルしていた人もこの条件を満たす)
  • 市民権の離脱が2010年の3月18日以降である
  • 離脱する年を含めて6年間の米国連邦政府への合計課税金額$25,000を超えていないこと(この金額を超えていた場合は、救済措置は受けられないので注意しましょう。)
  • 離脱する年を含めて6年間の税務申告の提出に同意すること
  • 申請のプロセス

以下の書類が必要になります。市民権の離脱証明書、ご自身の身分証明書のコピー、市民権離脱する年の税務申告書(1040NRとForm 8854)そして、その前の年から遡って5年間の通常のForm 1040。これらの書類の1ページ目に”Relief for Certain Former Citizen”と赤字で記載して、IRSに提出します。前述しましたが、税金、利子、ペナルティの支払いはございません。IRSは、約2ヶ月かけて、書類を審査して、その結果を通知してくると前述のWebsiteには記載されています。

このプロセスが終了すれば、晴れてあなたの米国市民としての米国税務義務は消滅して、日本の居住者としての税務申告だけに注力すれば良くなります。

  • 注意

米国籍の放棄は、税務面からだけで考える内容ではありません。必ず移民分野の弁護士などの専門家とご相談されて、ご自身の人生の重大な決断として判断されていただきますようにお願いします。

また、上記の6つの条件を満たさない場合で、提出を行いIRSが否認した場合は、通教のペナルティ、利子、税額がかかり、他のStreamlined Proceduresと呼ばれる海外金融資産の報告救済措置も受けることができなくなりますので、最大の注意が必要です。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記のWebsiteよりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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[i] https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/relief-procedures-for-certain-former-citizens